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47.堀江・村上両氏が逮捕された根本的理由とは?

資本主義自体の息の根が止まる可能性が出てくるのを防止するためであった。

 

岩井克人さんと考える 資本主義と会社

 いわい・かつひと 

47年生まれ。東京大経済学部卒。マサチューセッツエ科大大学院修了。エール大助教授、ペンシルベニア大客員教授などを経て、89年から現職。著書に「不均衡動学の理論」「ヴェニスの商人の資本論」「貨幣論」「資本主義を語る」「二十一世紀の資本主義論」「会社はこれからどうなるのか」「会社はだれのものか」などがある。

 小泉内閣が推し進めてきた政策は「市場原理主義」と呼ばれ、「格差社会を容認する」として批判を招いた。そんな中で起きたライブドア事件や村上ファンド事件・・・・・・。岩井克人・東京大教授(経済理論)は・・・・・・「中核部分で経営者に倫理的であることを求める」資本主義の“逆説”の重要性を指摘する。

 ライブドアの堀江貴文氏は「お金で買えないモノはない」と言った。・・・・・・

 資本主義の中核をなす会社とは、たんなる企業ではなく、法律の上で人として扱われる法人企業のことだ。本来人間ではない法人が、現実の経済の中で人間として振る舞うためには、それを人間のように動かす生身の人間が必要となる。それが会社の経営者だ。・・・・・・

 経営者と会社との関係は、あえて名前をつけるとすれば「信任関係」である。信任とは、医者と患者の関係のように、他の人から信頼によって仕事を任されることを意味する。信任関係が成立するには、そこに「倫理性」が要求される。会社の経営者は「会社をきちんと活動させる」という目的のために、自らの利益の追求を抑えて行動する義務を負うことになるからだ。会社法では、この義務のことを「忠実義務」と呼ぶ。この義務に違反すると、経営者は背任罪で逮捕されてしまうのだ。

 アダム・スミスが1776年に出版した「国富論」が描いた資本主義とは、自己利益の追求が、結果的に公共の利益になる社会であった。これは、現代の主流派経済学の基本的な思想でもある。

 だがその資本主義の中核に、経営者の倫理的行動が要請されているという大いなる「逆説」が見いだされたのである。スミスが排除したはずの倫理性が必然的に求められている。この逆説を理解しなければ、ある日資本主義自体の息の根が止まる可能性が出てくる。

 例えば上場会社のことを、英語で「パブリック・コーポレーション」という。直訳すると、公共的会社だ。それは、株式市場が本来的に公共性を持っていることを意味している。上場するということは、すべての市民から資金を調達することが認められたということだ。だからこそ、上場会社は自分の活動に関する情報を、公平に、しかもうそ偽りなく市民に伝える義務を負う。証券取引法がインサイダー取引や粉飾決済を禁じているのは、それが株式市場のこの公共性を損なうからだ。その意味で、株主の権利を強く主張してきた村上ファンドの村上世彰氏が、株式市場の公共性を裏切るインサイダー取引をしていたことは大変に残念なことだ。・・・・・・

  (聞き手・伊藤政彦、松本一弥)

 朝日新聞 06/7/25(火)朝刊「漂流する風景の中で」

 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

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