43.<図書館③>図書館を「現代の駆け込み寺」に!
いのち響く図書館
自殺したくなったら図書館に行こう。
滋貿県東近江市の市立能登川図書館長、才津原哲弘さん(60)は、こんな発信を続けている。住民1人当たりの年間貸出冊数12冊、全国平均の3倍という優良図書館。才津原さんは構想段階からかかわってきた。
年間3万人以上が自ら命を絶つ時代だ。図書館に行って悩みが消えるものだろうか。才津原さん自身、九州から移り住んで来て得た大切な人を自殺で失った。能登川のことを一から教えてくれた友人だった。無力感。だからこそ今がある。
「自殺を止めるのは難しい。でも、もっと手前で生や死を考えたり、何かに出会える場でありたいと思います」
行き場がないお年寄りも、不登校の子どもも、姑(しゆうとめ)と折り合いが悪いお嫁さんも、ここを居場所、逃げ場所、隠れ場所にしてほしいという。
図書館を訪ねた。天井が高い。木の香りがする。さまざまな椅子がある。窓際のソファに座って水車を眺めてもいい。畳敷きの小間もある。本を読みたくない人にも、本と出会いたい人にも優しい「休息の場」だ。
開館から9年、いろんな出会いがあった。病気で通えなくなった女性利用者がいると聞き、毎月本を届けた。末期がんの妻と夫の「二人展」を、読書スペースを3日間だけつぷして開いたこともある。
公立図書館は今、行政改革による正規職員の削減が進む。「図書館が『無料の貸し本屋』になったらダメです」。図書館は地域文化の拠点、命の糧となる場であれ、と信じる才津原さんには、それがはがゆくてならない。
毎日新聞 06/11/22(水)「発信箱」 元村有希子(科学環境部)
(文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)
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