40.人類は滅亡する―このままでは20数年後に!
持続的撤退
東京工業大学助手 澤田哲生さん
英国の環境科学者ジェームズ・ラブロック博士の講演を聴きました。・・・・・・地球全体を一つの生命体とみなす「ガイア理論」の提唱者の博士が、かつて超感度の毒物検出装置を発明。それがレイチェル・カールソン女史(1907~64)に、殺虫剤など化学物質の恐怖を描く環境問題の古典「沈黙の春」を書くきっかけを与えたといわれます。
博士の主張の要点は、大気中の二酸化炭素濃度が500㎜を超えれば人類は滅亡する。しかし、地球生命圏ガイアはそれとは無関係に存続する――です。
京都議定書の精神にもかかわらず、このままではCO2濃度が500㎜を超えるのは、2030年ごろといいます。人類減亡を防ぐためには、まずここ10年で人類がこの事実を共有し、それに備えるべく思考と生活の転換をしなければならないのです。それが「持続的撤退(sustainable retreat)」です。
私たちは、地球上に安住し、「持続的発展」に期待していますが、その本質をまだちゃんとは理解していないのです。課題は、発展つまり前進と撤退の境目がどこにあるかです。大学も含めたあまたの研究機関は、持続的発展を目指しています。ところが、その考え方の根本がすでに間違っているという警鐘を博士は鳴らしています。撤退を発展と受け入れられるかがまず問われます。そしてどこへ撤退するのか――です。
今後10年、その基礎固めと次世代への橋渡しが、私たちの責務になるのではないでしょうか。
毎日新聞 06/11/7(火)夕刊「夢を拓く」
(文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)
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