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39.「自然は芸術を模倣する」―どういうこと?     

                 山梨俊夫(神奈川県立近代美術館館長) (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

 自然は芸術を模倣する、と言ったのはオスカー・ワイルド・・・・・・。

 例えばコンスタブルやセザンヌが少年時代から知悉(ちしつ)している故郷の風景を鋭く、だが愛着のこもった眼差(まなざ)しで描いた絵を見たあとでは、描かれた実際の場所は絵の通りに見えてくる。画家の眼(め)がその風景の骨格まで的確に把握し、風景の表面の奥へと見る人の視線を一挙に誘うからだろう。

 ワイルドの言葉から思われるのは、画家の視線がもつ、そうした強い透過力である。画家の眼はわれわれを目覚めさせ、普段慣らされた視線でしか物を見ていないことに気づかせる。絵を描くということは、画家自身も取り付かれがちな、この慣らされた視線を剥(は)ぎ取ることでもある。

 絵は、物の表面をなぞるだけの眼を洗って、物の奥に眼差(まなざ)しを導く作用をする。そして物の奥は絵のなかにある。展示室に絵を掛けるとき、画家の眼差しに貫かれたこの絵を見た多くの人が、またこの絵に視線を食い入らせ、その人は自然に向ける視線を変えていくのだろうと思う。・・・・・・

        ~朝日新聞 06/12/19(火)夕刊「こころの風景」~

関連…何でもない街や田舎の風景は細密に描かれることで、新鮮な風景に変わる.pdf

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