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6.“人間カンバン方式”の大学への“布教” <大学は今?! ①>

ある有名ブランド大学の学長を取材した時の言葉が忘れられない。連続レイプ事件を起こした学生たちは、功利主義に堕した最近のおたくの大学の申し子ではないかと質(ただ)したところ、彼はこう返してきたのだった。「しかし君、トヨタあってこその我々だからね。」
 
 彼の真意が、『あなたの知らないトヨタ』(伊藤欣次/学習の友社)を読んでよくわかった。利益のためなら人間性など無駄以外の何物でもない。いや、というよりもトヨタでは効率性の前に自己犠牲をいとわないことこそが好ましい人間性とされている。
 
 “人間カンバン方式”(※)などと囁(ささや)かれる荒ワザも、だから可能になった。正規の労働者としての権利に守られない期間工や派遣、請負要員を徹底的に安くこき使い、時には死にまで追いやってしまう労務管理。
 
 『あなたの・・・』の著者が副所長を務めている研究所には、トヨタやその下請けの従業員からの相談が引きもきらないという。「残業代が支払われない」「給料が突然、37%もカットされた」
 
 このような価値観が、知の砦(とりで)たるべき大学に至るまで、いまや日本中を覆い尽くし始めている。日本郵政公社をはじめ、すでに社会の要所要所で“人間カンバン方式”が布教されつつある現実をご存知か。
 
 経済的利益の追求がいけないのではない。ただ、物事には限度があるのである。・・・・・・。

     斎藤貴男<自由のために その① 『あなたの知らないトヨタ』書評>
               サンデー毎日 06.1.8・15「サンデーらいぶらりぃ」

(※)文紹介者注:カンバン方式とは・・・トヨタ自動車が1975年ごろから、ムリ・ムダ・ムラを排除するためジャスト・イン・タイムに生産することをめざして確立した独特の生産管理方式。「必要なときに、必要な量だけつくる」ことを基本理念とし、在庫ゼロを理想状態とする(現代用語の基礎知識2001)。連絡に用いる作業指示票の通称が「かんばん」であることからこう呼ばれている(知恵蔵2001)。

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