« 6.“人間カンバン方式”の大学への“布教” <大学は今?! ①> | トップページ | 8.日の丸・君が代訴訟勝利! 都立学校教員、天晴れ! »

7.エリートと忠犬 <大学は今?! ②>

学生「仕分け」する大学  先回り 決められる進路

 「自分をエリートだと思う人は?」ゲストの質問に大教室は静まり返った。昨年1月、壇上の丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長が続けた。「自分がそうなるんだという気持を持ってほしい。エリートのいない国は滅び、企業は強くなれない」
 
 早稲田大学に02年春、トップリーダーを養成する講座が生まれた。「大隈塾」。単位を与えるれっきとした授業だ。毎週代わるゲスト講師と学生が丁々発止、渡り合う。過去の講師は丹羽氏のほか小沢一郎・前民主党副代表、宮沢喜一元首相、谷垣禎一財務相、ユニクロを創始した柳井正氏・・・・・・。
 
 定員の倍以上の500人強が毎年押しかけるため、志望理由を200字で書かせて選ぶ。落ちた理由を事務局に聞きに来る学生が絶えない。職員は「男子学生から涙ながらに抗議され、困り果てた」と言う。
 
 だが、講座は実は最初ステップに過ぎない。受講生から論文と面接でさらに絞られた20人がゼミ形式の「大隈塾演習」に参加する。
 
 03年度の演習に抜擢され。この春、東証1部上場企業に就職する政治学科の4年生(21)がさらりという。「下にいる者を引っ張り、道を切り開く。自己犠牲をいとわない真のエリートになりたい」
 
 両親と12年間ニューヨークに暮らし、米国の小学校を卒業、単身帰国して私立中高校一貫校で学んだ。政治家に強い関心を寄せている。「演習に参加した僕ら20人は日本を背負う集団になる、と確信しています」
     

               ■  ■
 

A3判のワークシートに自分のこれからの人生を書け、と指示された。昨年6月、大阪経済大学の男子学生(19)は深く考えず鉛筆を走らせた。「地方公務員」。そして「結婚する」「自分の家を持つ」。
 
 同大のキャリア講座は就職意識を高めるのが狙いだ。新入生の大半が受講する。次の授業では、人生の目標実現に向けて大学4年間に何をするかを別のシートに書かされた。記入欄は各学年の学期や春・夏休みごとに勉強、アルバイト、余暇などに分かれている。「そんなもの分かるかいな」と思いながら、3年の夏休みのバイト欄を「レストランで」、余暇は「野球観戦」と埋めた。
 
 昨年春に現役合格。第2志望だった。入学式の3日後、職業適性診断テストを課された。「自分は頭がAかたい/Bやわらかい」「気分転換はA早いほう/遅いほう」・・・・・・250の質問に答えた。
 
 しばらくして判定結果が返ってきた。「持ち味や得意分野への自己理解は進んでいます。今後は働く意味について考えるのが課題です。」末尾に「進路成熟度55%」とあった。
 
 大学側はこうした授業や適正テストを経てパソコンや簿記、秘書検定など各種の資格取得を勧める。重森暁学長は「企業を支える中堅層の育成を目指している」と語る。記者(40)がこの話を伝えたある学生(23)は苦笑した。「エリートに使われる『忠犬』層ということじゃないですか」

    毎日新聞 06/1/11(水)朝刊「縦並び社会 第1部 格差の現場から」

人気blogランキングへ←1クリック応援お願いします!

« 6.“人間カンバン方式”の大学への“布教” <大学は今?! ①> | トップページ | 8.日の丸・君が代訴訟勝利! 都立学校教員、天晴れ! »

無料ブログはココログ