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10.<北朝鮮・核実験への視点 ②>海上封鎖は軍事制裁の第1段階

船舶検査が軍事的行動を招く可能性も     小川和久

 北朝鮮は核保有国になろうとしている。現在の金正日体制を維持していくには、核クラブのメンバーになることが不可避だと考えているのだ。一般的に核実験実施は核クラブ入りを意味する。北朝鮮にしてみれば、インド、パキスタンの前例に倣ったということになるかもしれない。両国は98年5月の核実験後、経済制裁こそ受けたものの、軍事制裁を受けることはなかったからだ。・・・・・・しかし、今回はそうは運ばない・・・・・・。
 
 北朝鮮は核実験を強行することで、6カ国協議に戻る道を閉ざしたが、それだけではない。その次に来るのは、6日の議長声明が示唆している国連憲章第7章に基づく制裁である。
 
 といっても、憲章第41条による非軍事的措置にとどまるから心配ない、と北朝鮮は思っているだろう。ところが、この「非軍事的措置」が曲者(くせもの)で、経済制裁の範囲にとどまるものではない。米国は国連決議に基づく非軍事的措置の一環として海上封鎖を準備しているからだ。
 
 ひとつのシナリオでは、米国は北朝鮮の主要港6カ所について出入港の80%を規制することになっている。そして、北朝鮮の東西両岸沖で米国沿岸警備隊が船舶検査を実施、海軍の空母機動部隊がバックアップする。・・・・・・。
 
 日本人には馴染(なじ)みが薄いが、実は海上封鎖は「経済制裁の最終段階」と同時に「軍事制裁の第1段階」でもある。積み荷を調べる船舶検査の現場では北朝鮮側の抵抗は必至だ。小競り合いも予想される。真相が分かりにくい洋上だ。銃撃戦にでもなれば、米国は「反撃」に出る根拠を手にすることになる。韓国に司令部、日本に後方司令部を置く国連軍としても米国は反撃が可能となる。先制攻撃ではなく「反撃」である。そして核実験後のこともあり、本気で米国を非難できる国はない。
 
 このとき、米国は寧辺(ニョンビョン)の核施設などに対する外科手術的攻撃(サージカル・ストライク)から軍事行動を開始する。既に韓国にはF117攻撃機、グァムにはB2爆撃機、という第1撃に投入されるステルス機が展開している。
  
 外科手術的攻撃で北朝鮮の態度が変わらなければ、米国は本格的な航空攻撃に移行する。長距離砲と各種ミサイルによる北朝鮮の再反撃に対しては、韓国軍が一気に北進することになる。むろん、長期化、泥沼化のシナリオもあるが、最短の場合、数日で北朝鮮の体制は崩壊するというのが米国の想定だ。
 ・・・・・・。
                        (おがわ・かずひさ/国際政治・軍事アナリスト)

    毎日新聞 06/10/14(土)朝刊「論点 北朝鮮 核実験強行」

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