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13, <北朝鮮・核実験への視点 ③>北朝鮮を責めるだけでよいのか?

(文中の〔  〕内は文紹介者が補足するために追記したものです。)

大国足踏み 滞る不拡散

 ・・・・・・包括的核実験禁止条約(CTBT)を支持する諸国・・・・・・は96年に条文に合意したが、批准国数が足らず、〔CTBTは〕たなざらしのままだ。・・・・・・。
 
 条約発効に至らなかった「失われた10年」の間、インド、パキスタンが核実験し、核保有国になった。北朝鮮は03年に核不拡散条約(NPT)を脱退し、公然と核開発に走った。3国は〔包括的核実験禁止〕条約に署名すらしていない。
 
 発効には、核保有国や主要な原子力利用国など44カ国の批准が必要だ。このうち、核保有国の英仏口、日本など34カ国がすでに批准済みだ。残る10カ国のうち、署名はしたが未批准なのが7カ国で、核保有国の米中、事実上の核保有国イスラエル、核疑惑が消えないイランが含まれる。
 
 核実験が違法化されれば、核保有国による新型核弾頭の開発を抑えられる。実験なしに核保有国となるのは技術的にむずかしく、野望を抱く国に高いハードルを突きつけることにもなる。条約には核軍縮と不拡散の二重効果がある。
 
 CTBTが発効しない大きな要因は、最大の核大国である米国だ。米上院は99年に批准を否決。01年に登場したブッシュ政権も核兵器の性能・安全確認には実験が必要な場合があるとの判断から、条約に徹頭徹尾反対してきた。イラン、北朝鮮に核開発の断念を迫る一方で、核保有国となったインドとは平和目的の原子力協定で合意し、核をめぐる「二重基準」を際だたせてきた。
 
 北朝鮮に最も影響力を持つ中国も96年の条文合意の直前に「駆け込み実験」をした。署名はしており、「全国人民代表大会(国会)での批准待ち」(中国外交関係者)との構えだが、米国や隣国インドの動きを見守っているように見える。
  
 歴史に「もし」は禁句だが、日本政府内からは「米中が批准し、条約発効に向けて機運が高まっていれば、北朝鮮に実験禁止を迫る国際圧力ももっと強まっていただろう」との声も聞こえる。
 
 核保有国が実験すれば、核保有を狙う国が便乗して実験し、核軍拡が加速する悪循環に陥りかねない。
 
 ホワイトハウスの元科学技術政策局次長で90年代にCTBTへの対応を担当したフォンヒッペル・プリンストン大教授は9月、来議会で「米国が核軍縮などに取り組まなけれは、非核国の権利を制限することに支持は得られない」と警告した。
  
 米中も加わって、日本や英仏口などとともに核実験の追放でスクラムを組むのか。「核実験ドミノ」に進むのか。北朝鮮が核実験実施を発表したいま、世界は「失われた10年」をどう取り戻すかの岐路に立っている。
              (論説委員・吉田文彦、ウィーン=関本誠)

    朝日新聞 06/10/15(日)朝刊「核の衝撃 北朝鮮と世界⑤」

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