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9.<北朝鮮・核実験への視点 ①>日本の「イスラエル化」

イラクを教訓、金総書記     小此木政夫

 金正日総書記はイラク戦争から多くのことを学習したに違いない。その最たるものは「イラクがイスラエルに到達する核ミサイルを完成していれば、米軍もバグダッドに侵攻することができず、フセイン政権は維持された」という教訓である。イラクの核ミサイルが米国まで到達する必要はなかった。
 
 中東情勢を東アジアに置き換えればどうなるだろうか。金正日は北朝鮮が核ミサイルを完成して、日本列島を射程に収めれば、米国は北朝鮮を攻撃することができず、金正日政権の軍事的な安全が保障されると考えているに違いない。好むと好まざるとにかかわらず、日本は中東におけるイスラエルの立場に置かれるのである。
 
 テポドン2号の試写に失敗したとはいえ、ノドン・ミサイルが正確に目標水域に到達したのだから、7月始めのミサイル発射はそのような計画の第1段階終了を意味している。今回の核実験によって、北朝鮮の核戦力構築は第2段階に突入した。第3段階として想定されているのは、いうまでもなく、ミサイルと核兵器の結合である。
 
 ・・・・・・北朝鮮が構築しているのは強力な軍事力だけではない。金正日の「先軍政治」の外交理念は「強力な軍事力こそ、強力な外交力の基盤である」というものである。一度公開的にスタートした以上、北朝鮮指導部はそれに見合うだけの大きな代価の獲得なしに核戦略構築を中断しないだろう。・・・・・・。

                             (おこのぎ・まさお 慶応大学法学部長<国際政治学>)

    毎日新聞 06/10/14(土)朝刊「論点 北朝鮮 核実験強行」

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