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        ≪目  次≫

95.国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)・・・ドラマ『風に舞いあがるビニールシート』

94.言葉の持つ力

93.敗戦による日本の半植民地化~『年次改革要望書』~

92.死刑執行音声

91.難民

90.三国志

89.アフリカの少年兵

88.筑紫哲也さんが遺したもの

【きんよう映画館】

【きんようドラマ館】

87.小田実によるベ平連の格言

86 アパルトヘイト・・・映画「マンデラの名もなき看守」

85 イラク戦争・・・映画「告発のとき」

84 日本人の自画像・・・映画「闇の子供たち」

83.~パレスチナ~映画 「パレスチナ1948・NAKBA」 

82.~日本という国家(くに)~映画 「バッシング」

81.~ビルマ~映画 「ビルマ、パゴダの影で」

80.~東欧革命~映画 「4ケ月、3週と2日」

79.~パレスチナ~映画「ボーフォート -レバノンからの撤退- 」

78.~治安維持法とは~映画「母(かあ)べい」に見る

77.~日中十五年戦争~映画 「蟻の兵隊」

76.~クルド~映画 「バックドロップ クルディスタン」

75.~ベトナム戦争~映画 「花はどこへいった」

74.~靖国神社~映画 「靖国 YASUKUNI」

73.~国鉄民営化~映画 「今夜、列車は走る」  

73.~ストリートチルドレン~映画 「マリアのへそ」

72.~憲法~映画「We 命尽きるまで」

71.~資本主義~映画 「ファーストフード・ネイション」

70.~ロシアの影~映画「暗殺 リトビネンコ事件」

69.チョムスキーの発言 

68.パレスチナ映画「ミュンヘン」

67.~愛国~映画「Marines Go Home 辺野古・梅香里・矢臼別」

66.~レンブラント~映画 「レンブラントの夜警」

65.~ベートーヴェン~.映画「敬愛なるベートーヴェン」

64.~三池争議~

63.~アイルランドの闘い~映画「麦の穂をゆらす風」

62.~資本主義~映画「ザ・コーポレーション」

61.~原発~映画 「みえない雲」 「東京原発」

60.~太平洋戦争~映画「陸に上がった軍艦」

59.~イスラム世界とアメリカ~映画「イラク 狼の谷」

【コーヒーブレイク】注目の映画!注目の女優!

58.国際情勢に材を採った面白いCM

57. 「在日」隠す芸能界に異変

56.ピラミッドの数はエジプトよりスーダンの方がすーだん上!<金曜トリビア③>

55.「電磁波で健康影響あり」とした画期的報告が厚生労働省から発表された(2007年1月19日)。

54.~原爆~映画「夕凪の国 桜の国」

53.~憲法~映画「日本の青空」・「映画 日本国憲法」

00.<団塊世代へのエール⑤>団塊世代の若き日に

00.ショートフィルム(1991)に見るゴルバチョフの栄光と挫折(♪「ソ連国歌」)(付録:東ドイツ国歌)<PALIERのコーナー④>

<番外>安部内閣支持率ネット世論調査(07/02)

52.なぜ子どもまで狙うのか?

51.米原万里さんを偲ぶ               

00.長谷川京子主演ドラマ「最後のナイチンゲール」<PALIERのコーナー③>

50.沖縄戦争とはいかなる戦争だったのか?

<番外②>小泉チルドレンの愚かさ加減とは?

《号外》防衛省誕生、不戦60年の終焉を告げる晩鐘が鳴り響いている!

49.ネット右翼が生まれる理由は?

00.ガッキーのテーブルテニス<PALIERのコーナー②>

《号外2》教育基本法改変で学校はどうなる?

《号外1》教育のクーデタ勃発!不戦60年の終焉を告げる晩鐘が鳴り響いている!

00.ブログランキングのコレクト&セレクト<PALIERのコーナー①>

48.堀江・村上両氏が逮捕された根本的理由とは?

<番外①>右傾化という時流に乗って「活躍」する人物のいい加減さとは?

47.いじめ自殺防止策<いじめ問題④>

46.教育基本法改変を断行した政府の狙いは何か?

45.いじめが起こる理由とは?<いじめ問題③>

44.図書館を「現代の駆け込み寺」に!<図書館③>

43.中南米左傾化の実情とその背景とは?

42.成果主義導入の罰―ソニーの場合

41.人類は滅亡する―このままでは20数年後に!

40.「自然は芸術を模倣する」―どういうこと?

39.図書館は情報探偵局!<図書館②>

38.<必修科目の未履修問題②>学習指導要領が学校混乱(強要、対する反乱)をもたらす元凶!

37.「共謀罪」新設で、冗談一つ言えないイビツな社会が到来する!

36.日本政府はいじめ問題に取り組もうという気持ちは爪の垢ほどもない!<いじめ問題②>

35.国鉄の分割民営化――振り返れば、これが日本が狂い始めた起点だった!

34.防衛省誕生で、不戦60年の終焉を告げる晩鐘が鳴り響く!

33.ルワンダ大虐殺の原因は、かつての植民地支配にあり!

32.憲法第9条を棄てるとき、日本人は限りなく堕落していく!

31.プラトンはソフィストに激しく嫉妬した!

30.自衛隊のイラク派遣の実態とはいかなるものだったのか?~前代未聞の金品で安全を買う軍隊~

29.宇井純さんの死を悼む!

28.教育基本法改変は教育のクーデター!

27.数学の苦手な高校生にアドバイス!

26.2ちゃんねるの住人とはどんな人? そして、彼らの怨念とは?

25.人権擁護法と言論・表現の自由

24.ハンガリー動乱と今日の日本

23.いじめの背景にあるもの、それは<いじめ問題①>                                                                                                                                              

22.動画 世界がもし100人の村だったら 

21.<必修科目の未履修問題①>文科省・教育委員会は、 

20.郵政公社の悲劇

19.団塊世代は68年の志を再び明らかにするのだろうか?!<団塊世代へのエール④>

18.団塊!それでいいのか?! <団塊世代へのエール③>

17.団塊世代の奇妙な沈黙 <団塊世代へのエール②>

16.全共闘運動とは何だったのか? <団塊世代へのエール①>

15.<寺山修司と俳句>若者こそ俳句を!

14, <北朝鮮・核実験への視点 ③>北朝鮮を責めるだけでよいのか?

13.裏切られた革命-明治維新

12.ディープ・スロートはポルノ用語<私のトリビア②>

11.<北朝鮮・核実験への視点 ②>海上封鎖は軍事制裁の第1段階

10.<北朝鮮・核実験への視点 ①>日本の「イスラエル化」

9.日の丸・君が代訴訟勝利! 都立学校教員、天晴れ!

8.エリートと忠犬 <大学は今?! ②>

7.“人間カンバン方式”の大学への“布教” <大学は今?! ①>

6.図書館の役割とは?<図書館①>

5.コスモスは生態系危機の象徴

4.ファーブル昆虫記と無政府主義者<私のトリビア①>

3.教育とは?~個体発生は系統発生を繰り返す~

2.ハチドリのひとしずく②

1.ハチドリのひとしずく①

                                    

≪初めて訪問いただいた方に≫

 はじめまして。こんにちは!

 <ゆうかん金曜日>の<ゆうかん>は<夕刊><勇敢><有感・有観・有歓・有閑・遊観>の意です(<憂患>は含めたくはありません、が・・・)。ちょっといい〔と私が思った〕話・役に立つ〔と私が思った〕話などをご紹介しております。

 

 次の日の土曜日はお休みというゆっくり過ごせる金曜日の夜などにお読みください。土曜日がお休みでない方は、お休みの日の前のゆっくり過ごせる夜にお読みください。

 それでは、よろしければ、末永くお付き合いください。よろしくお願いします。

 なお、コメントはいただいても、きちんとした応答が出来ない恐れがありますので、お受けしないことにいたしております。何卒ご理解いただけますようにお願いいたします。

                                  

1.ハチドリのひとしずく①

ハチドリの勇気

 南米・エクアドルの先住民に伝わるハチドリの物語――。アマゾンの森が燃え、動物たちは我先に逃げ出した。でも体長7センチほどの小さなハチドリだけは、行ったり来たり、口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落とした。動物たちは「そんなことをして何になるんだ」と笑った。ハチドリはこう答えた。「私は私にできることをしているだけです」
 
 この物語に心を打たれた環境NGO(非政府組織)ナマケモノ倶楽部の世話人、辻信一・明治学院大教授らが、多くの人に広めたいと小冊子を製作中だ。夏至の日の夜に電気を消して過ごす「100万人のキャンドルナイト」を呼びかける辻さんは「地球温暖化など大きな問題を前に、私たちは小さな自分を見つけ、無力感に襲われがちだ。そんな時、ハチドリのことを思い出してほしい」。
 
 そして、「物語の続きを作るのはあなた」とも。ハチドリの努力もむなしく、森は焼け野原となるか。動物たちがそれぞれができることを始め、火を消しとめるか。私はハチドリの勇気が周囲を変える未来を描きたい。【足立旬子】

     毎日新聞 05/3/16(水)夕刊「憂楽帳」

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2.ハチドリのひとしずく②

(文中の〔  〕内は文紹介者が補足するために追記したものです。)

 明治学院大学教授辻信一(53)・・・は、いまは、自ら監修した南米先住民の伝説「ハチドリのひとしずく」(光文社)に凝っている。
 
 森が燃えて、森の生き物はみんな逃げた/ハチドリだけはくちばしで水のしずくを一滴ずつ運んで火に落とした/動物たちは笑った/ハチドリは「私は私にできることをしているだけ
 
 辻は思う。「〔憲法第〕9条」という新しい生き方の物語が始る、と。

     「市民と非戦⑮」朝日新聞 06/3/10(金)夕刊

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3.教育とは?~個体発生は系統発生を繰り返す~

生き物には、「個体発生は系統発生を繰り返す」という原則がある。ヒトの受精卵は母の胎内で両生類やは虫類の時代を駆け抜けてヒトの体になってゆく。肉体と同じように、精神も人類が積み上げてきた知的遺産の体系の中を猛スピードで走り抜けることで成長する。そのプロセスを教育と呼ぶ。本物の個性はこの土壌の上に花開く。花を咲かすにはまず土がいる。

      日経新聞 99/5/11(火)朝刊「春秋」

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4.ファーブル昆虫記と無政府主義者<私のトリビア①>

文中の〔  〕内は文紹介者が補足するために追記したものです)

 日本で最初に『昆虫記』の一部を翻訳刊行したのが無政府主義者の大杉栄。〔『大杉栄訳 ファーブル昆虫記』が〕明石書店より最近復刊された・・・。

      サンデー毎日 06.1.8・15「サンデーらいぶらりぃ」

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5.コスモスは生態系危機の象徴

(文中の〔  〕内は文紹介者が補足するために追記したものです。また、太字も文紹介者が強調のためにそうしたものです。)

コスモスのない「賢治の風景」
  “秋の風物詩”、実は生態系危機の象徴     柴谷篤弘

 毎年いまごろから、私は『毎日新聞』などの文書を見ていらいらさせられる。8月19日夕刊一面(大阪)の色写真で、三重県の休耕田に蒔(ま)かれたコスモスが秋の風物詩として記事にされた。私は昨年もこれと似た紙面を見て、〔昨年〕10月20日「みんなの広場」〔(毎日新聞の投書欄)〕でそれに苦情をいった。・・・・・・実は1992年10月3日の本紙「ネーチャー・ウオッチング、生きものたちよ」でも、それに先行した9月5日の記事「コスモス、住民結ぶ野生の美」への私の批判が紹介されている。この外来人工の花を「野生」とは!私がそのたびごとに本紙に入念に苦情をいれ、どれも紙面に反映させられたが、秋が近づくとまたぞろ同じ話題が無邪気に取り上げられる。この無力感。
 
 日本の生態系で現在一番危機にさらされているのは、宮沢賢治の「風の又三郎」で典型的に代表される、平地・山地の草原だ。・・・・・・現在休耕地がふえているが、それを利用して草地を復元することが、重要な課題になっている。これらの土地は住宅・産業に転用、あるいはゴルフ場・レジャーランド・駐車場・キャンプ地などの形で経済的に利用するのでなければ、都会人に人気のあるコスモス群生地にされやすく、それが毎年飽きもせず前向きに善意で報道される。山野にもよく育ち情緒ゆたかなこの植物はメキシコ原産の外来種で、里山が代表する日本土着の生態系とはなじまない。だから秋の気配をコスモスで表現しようとすれば、目につきにくい形で日本の自然保護に害毒を及ぼさせているのだという自意識がほしい。
 
 今年、宮沢賢治生誕100年を記念する各種の催しが、かれの故郷花巻市でくりひろげられ、私も参加する機会があった。「風の又三郎」に描かれた9月下旬は、花巻祭とコスモスの花季に重なる。しかしこの童話にも、それに主題をとり、祭りと時期をあわせた内田康雄の推理小説『イーハトーブの幽霊』(1995)にもコスモスは描かれない。・・・・・・コスモスは祭りをひかえた花巻や、北上川の堤防や「イギリス海岸」の風物ではなかった。賢治の詩歌にも、ハゲイトウを中心に賢治が試みた花壇の設計にも、コスモスは現れない。しかし「銀河鉄道」につらなる「銀河(系)」と「宇宙」は、賢治の「農民芸芸術概論綱要」(1936)の鍵概念であり、コスモスは宇宙を意味するが、かれの芸術では植物コスモスはその隠喩(いんゆ)にも象徴にも使われていない。・・・・・・それにしてもコスモスのない花巻付近の東北の自然は、いまもなお私の心のなかにある日本の原風景に通じるものであった。
                
                 (しばたに・あつひろ=京都精華大学名誉教授・日本鱗翅学会自然保護委員長)

    毎日新聞 96/9/10(火)夕刊

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6.図書館の役割 <図書館①>

多くの公共図書館で業務委託を受けてきた株式会社図書館流通センターの石井昭会長は「図書館というのは、行政に対しておかしいじゃないかという人間をたくさんつくる場所」「みんなが例えば、オウム・バッシングしているときに、『ちょっと違うんじゃない』と言える。そういう人をつくったり、自分の考え方を持てるように支援するのが、図書館」(「図書館をサポートする仕事」ず・ぼん11号)と語る。
     
     朝日新聞 05/12/5(月)夕刊「回顧2005 論壇」

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7.“人間カンバン方式”の大学への“布教” <大学は今?! ①>

ある有名ブランド大学の学長を取材した時の言葉が忘れられない。連続レイプ事件を起こした学生たちは、功利主義に堕した最近のおたくの大学の申し子ではないかと質(ただ)したところ、彼はこう返してきたのだった。「しかし君、トヨタあってこその我々だからね。」
 
 彼の真意が、『あなたの知らないトヨタ』(伊藤欣次/学習の友社)を読んでよくわかった。利益のためなら人間性など無駄以外の何物でもない。いや、というよりもトヨタでは効率性の前に自己犠牲をいとわないことこそが好ましい人間性とされている。
 
 “人間カンバン方式”(※)などと囁(ささや)かれる荒ワザも、だから可能になった。正規の労働者としての権利に守られない期間工や派遣、請負要員を徹底的に安くこき使い、時には死にまで追いやってしまう労務管理。
 
 『あなたの・・・』の著者が副所長を務めている研究所には、トヨタやその下請けの従業員からの相談が引きもきらないという。「残業代が支払われない」「給料が突然、37%もカットされた」
 
 このような価値観が、知の砦(とりで)たるべき大学に至るまで、いまや日本中を覆い尽くし始めている。日本郵政公社をはじめ、すでに社会の要所要所で“人間カンバン方式”が布教されつつある現実をご存知か。
 
 経済的利益の追求がいけないのではない。ただ、物事には限度があるのである。・・・・・・。

     斎藤貴男<自由のために その① 『あなたの知らないトヨタ』書評>
               サンデー毎日 06.1.8・15「サンデーらいぶらりぃ」

(※)文紹介者注:カンバン方式とは・・・トヨタ自動車が1975年ごろから、ムリ・ムダ・ムラを排除するためジャスト・イン・タイムに生産することをめざして確立した独特の生産管理方式。「必要なときに、必要な量だけつくる」ことを基本理念とし、在庫ゼロを理想状態とする(現代用語の基礎知識2001)。連絡に用いる作業指示票の通称が「かんばん」であることからこう呼ばれている(知恵蔵2001)。

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8.エリートと忠犬 <大学は今?! ②>

学生「仕分け」する大学  先回り 決められる進路

 「自分をエリートだと思う人は?」ゲストの質問に大教室は静まり返った。昨年1月、壇上の丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長が続けた。「自分がそうなるんだという気持を持ってほしい。エリートのいない国は滅び、企業は強くなれない」
 
 早稲田大学に02年春、トップリーダーを養成する講座が生まれた。「大隈塾」。単位を与えるれっきとした授業だ。毎週代わるゲスト講師と学生が丁々発止、渡り合う。過去の講師は丹羽氏のほか小沢一郎・前民主党副代表、宮沢喜一元首相、谷垣禎一財務相、ユニクロを創始した柳井正氏・・・・・・。
 
 定員の倍以上の500人強が毎年押しかけるため、志望理由を200字で書かせて選ぶ。落ちた理由を事務局に聞きに来る学生が絶えない。職員は「男子学生から涙ながらに抗議され、困り果てた」と言う。
 
 だが、講座は実は最初ステップに過ぎない。受講生から論文と面接でさらに絞られた20人がゼミ形式の「大隈塾演習」に参加する。
 
 03年度の演習に抜擢され。この春、東証1部上場企業に就職する政治学科の4年生(21)がさらりという。「下にいる者を引っ張り、道を切り開く。自己犠牲をいとわない真のエリートになりたい」
 
 両親と12年間ニューヨークに暮らし、米国の小学校を卒業、単身帰国して私立中高校一貫校で学んだ。政治家に強い関心を寄せている。「演習に参加した僕ら20人は日本を背負う集団になる、と確信しています」
     

               ■  ■
 

A3判のワークシートに自分のこれからの人生を書け、と指示された。昨年6月、大阪経済大学の男子学生(19)は深く考えず鉛筆を走らせた。「地方公務員」。そして「結婚する」「自分の家を持つ」。
 
 同大のキャリア講座は就職意識を高めるのが狙いだ。新入生の大半が受講する。次の授業では、人生の目標実現に向けて大学4年間に何をするかを別のシートに書かされた。記入欄は各学年の学期や春・夏休みごとに勉強、アルバイト、余暇などに分かれている。「そんなもの分かるかいな」と思いながら、3年の夏休みのバイト欄を「レストランで」、余暇は「野球観戦」と埋めた。
 
 昨年春に現役合格。第2志望だった。入学式の3日後、職業適性診断テストを課された。「自分は頭がAかたい/Bやわらかい」「気分転換はA早いほう/遅いほう」・・・・・・250の質問に答えた。
 
 しばらくして判定結果が返ってきた。「持ち味や得意分野への自己理解は進んでいます。今後は働く意味について考えるのが課題です。」末尾に「進路成熟度55%」とあった。
 
 大学側はこうした授業や適正テストを経てパソコンや簿記、秘書検定など各種の資格取得を勧める。重森暁学長は「企業を支える中堅層の育成を目指している」と語る。記者(40)がこの話を伝えたある学生(23)は苦笑した。「エリートに使われる『忠犬』層ということじゃないですか」

    毎日新聞 06/1/11(水)朝刊「縦並び社会 第1部 格差の現場から」

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9.日の丸・君が代訴訟勝利! 都立学校教員、天晴れ!

 (文中の赤青太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。

   朝日新聞 06/9/22()朝刊

日の丸・君が代強要 違憲 東京地裁判決

「思想の自由侵害」 教員処分 都に慰謝料命令

 入学式や卒業式で日の丸に向かっての起立や君が代の斉唱を強要するのは不当だとして、東京都立の高校や養護学校などの教職員が都教委などを相手に、起立や斉唱義務がないことの確認などを求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。難波孝一裁判長は、違反者を処分するとした都教委の通達や職務命令は「少数者の思想・良心の自由を侵害する」として違憲・違法と判断起立、斉唱義務がないことを確認し、違反者の処分を禁止した。さらに、401人の原告全員に1人3万円の慰謝料を支払うよう都に命じた。都側は控訴する方針。

 《解説》日の丸・君が代を巡る都教委の通達は、「教育は不当な支配に服してはならない」と定めた教育基本法10条に違反する、と東京地裁判決は明確に認めた。・・・・・・

 

   毎日新聞 06/9/22()朝刊

国旗・国歌訴訟 判決要旨

 日の丸、君が代を巡る21日の東京地裁判決の要旨は次の通り。

 1 国旗に向かって起立したり、国歌を斉唱する義務がないことなどの確認を求める訴訟は適法か

 ・・・・・・訴えは適法と言うべき。

 2 都教委の通達や校長の職務命令は適法か

 【日の丸、君が代】

 日の丸、君が代は明治時代から第二次世界大戦終了まで、皇国思想や軍国主義思想の精神的支柱として用いられたことがあることは否定し難い歴史的事実である。国旗・国歌法が制定された現在も、宗教的、政治的に価値中立的なものと認められるには至っていない。入学式や卒業式で国旗掲揚、国歌斉唱に反対する国民も少なからずいる。

 このような世界観、主義、主張を持つ者の思想・良心の自由も、公共の福祉に反しない限り、憲法上、保護に値する権利と言うべき。教職員に一律に国旗に向かって起立し国歌斉唱、ピアノ伴奏の義務を課すことは、思想・良心を有する者の自由権を侵害している。

 【学習指導要領に基づく義務】

 学習指導要領は法規としての性質を有するが、大綱的な基準にとどめるべきものと解するのが相当。大綱的基準を逸脱し、教職員に一方的な理論や観念を生徒に教え込むことを強制するような場合は、教育基本法10条1項が定める不当な支配に該当し、法規としての性質は否定される。

 指導要領は「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と規定するだけで、どのような教育をするかについてまでは定めていない。

 この条項の効力は、教職員に対し、一方的な理論や理念を生徒に教え込むことを強制しないとの解釈の下で認められるもので、この解釈を超えて、指導要領が教職員に起立して国歌を斉唱する義務、ピアノを伴奏する義務を負わせていると解することは困難である。

 【通達に基づく義務】

 通達は、国旗掲揚、国歌斉唱の具体的方法等を詳細に指示するもので、各学校の裁量を認める余地はほとんどない。また①都教委は通達と同時に「適格性に課題のある教育管理職の取扱いに関する要綱」を発表②各校長らに、国歌斉唱の方法、教職員に対する職務命令の発令方法、教職員の不起立等の現認方法及び都教委への報告方法等について指示③各校長は教職員に起立して国歌を斉唱し、ピアノ伴奏するよう職務命令を発した④都教委は職務命令違反の教職員を、1回目は戒告、2回目及び3回目は減給、4回目は停職との基準で懲戒処分にした⑤定年退職後に再雇用を希望する教職員に職務命令違反があった場合、再雇用を拒否した――などの経緯が認められる。一連の指導は校長の裁量を許さず、教職員に国歌斉唱などを強制したと評価できる。

 とすると、通達や指導は、教育の自主性を侵害するうえ、教職員に対し、一方的な理論や観念を生徒に教え込むことを強制するに等しい。教育基本法が規定する不当な支配に該当するものとして違法と解するのが相当で、憲法19条の思想・良心の自由にも反している

 【校長の職務命令に基づく義務について】

 教職員は原則として校長の職務命令に従う義務を負うものの、命令に重大かつ明白な瑠疵(かし)がある場合は従う義務はない。起立して国歌を斉唱し、ピアノを伴奏する義務はなく、むしろ思想・良心の自由に基づき拒否する自由を有している。原告らが起立や斉唱を拒否しても、入学式、卒業式の式典進行を妨害することはないうえ、生徒らに拒否をあおる恐れがあるとも言えない。

 仮に教員がピアノ伴奏を拒否したとしても代替手段がある。原告らの拒否は、異なる世界観、主義、主張を持つ者に対し不快感を与えることがあるとしても、憲法は 相反する世界観、主義、主張を持つ者に対しても相互の理解を求めている。不快感により原告ら教職員の基本的人権を制約することは相当ではない。校長らの職務命令には重大かつ明白な瑠疵がある。

 3 国家賠償請求権について

 原告らは違法な通達や職務命令により、国旗に向かって起立し、国歌を斉唱するかどうか、ピアノを伴奏するかどうかの岐路に立たされ、自らの思想・良心に反して通達や命令に従わされたことで精神的損害を被った

 4 結論

 国旗、国歌への正しい認識を持たせ、尊重する態度を育てることは重要なことで、式典で国旗を掲げ、国歌を斉唱することは有意義なものといえる。しかし、懲戒処分をしてまで起立させ、斉唱させることは、言わば少数者の思想良心の自由を侵害し、行き過ぎた措置であると思われる。

 国旗、国歌は国民に強制するのではなく、自然のうちに国民の間に定着させるのが国旗・国歌法の制度趣旨であり、学習指導要領の理念と考えられる。これらの趣旨に照らすと、都教委の通達や校長らの職務命令は違法であると判断した。

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10.<北朝鮮・核実験への視点 ①>日本の「イスラエル化」

イラクを教訓、金総書記     小此木政夫

 金正日総書記はイラク戦争から多くのことを学習したに違いない。その最たるものは「イラクがイスラエルに到達する核ミサイルを完成していれば、米軍もバグダッドに侵攻することができず、フセイン政権は維持された」という教訓である。イラクの核ミサイルが米国まで到達する必要はなかった。
 
 中東情勢を東アジアに置き換えればどうなるだろうか。金正日は北朝鮮が核ミサイルを完成して、日本列島を射程に収めれば、米国は北朝鮮を攻撃することができず、金正日政権の軍事的な安全が保障されると考えているに違いない。好むと好まざるとにかかわらず、日本は中東におけるイスラエルの立場に置かれるのである。
 
 テポドン2号の試写に失敗したとはいえ、ノドン・ミサイルが正確に目標水域に到達したのだから、7月始めのミサイル発射はそのような計画の第1段階終了を意味している。今回の核実験によって、北朝鮮の核戦力構築は第2段階に突入した。第3段階として想定されているのは、いうまでもなく、ミサイルと核兵器の結合である。
 
 ・・・・・・北朝鮮が構築しているのは強力な軍事力だけではない。金正日の「先軍政治」の外交理念は「強力な軍事力こそ、強力な外交力の基盤である」というものである。一度公開的にスタートした以上、北朝鮮指導部はそれに見合うだけの大きな代価の獲得なしに核戦略構築を中断しないだろう。・・・・・・。

                             (おこのぎ・まさお 慶応大学法学部長<国際政治学>)

    毎日新聞 06/10/14(土)朝刊「論点 北朝鮮 核実験強行」

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11.<北朝鮮・核実験への視点 ②>海上封鎖は軍事制裁の第1段階

船舶検査が軍事的行動を招く可能性も     小川和久

 北朝鮮は核保有国になろうとしている。現在の金正日体制を維持していくには、核クラブのメンバーになることが不可避だと考えているのだ。一般的に核実験実施は核クラブ入りを意味する。北朝鮮にしてみれば、インド、パキスタンの前例に倣ったということになるかもしれない。両国は98年5月の核実験後、経済制裁こそ受けたものの、軍事制裁を受けることはなかったからだ。・・・・・・しかし、今回はそうは運ばない・・・・・・。
 
 北朝鮮は核実験を強行することで、6カ国協議に戻る道を閉ざしたが、それだけではない。その次に来るのは、6日の議長声明が示唆している国連憲章第7章に基づく制裁である。
 
 といっても、憲章第41条による非軍事的措置にとどまるから心配ない、と北朝鮮は思っているだろう。ところが、この「非軍事的措置」が曲者(くせもの)で、経済制裁の範囲にとどまるものではない。米国は国連決議に基づく非軍事的措置の一環として海上封鎖を準備しているからだ。
 
 ひとつのシナリオでは、米国は北朝鮮の主要港6カ所について出入港の80%を規制することになっている。そして、北朝鮮の東西両岸沖で米国沿岸警備隊が船舶検査を実施、海軍の空母機動部隊がバックアップする。・・・・・・。
 
 日本人には馴染(なじ)みが薄いが、実は海上封鎖は「経済制裁の最終段階」と同時に「軍事制裁の第1段階」でもある。積み荷を調べる船舶検査の現場では北朝鮮側の抵抗は必至だ。小競り合いも予想される。真相が分かりにくい洋上だ。銃撃戦にでもなれば、米国は「反撃」に出る根拠を手にすることになる。韓国に司令部、日本に後方司令部を置く国連軍としても米国は反撃が可能となる。先制攻撃ではなく「反撃」である。そして核実験後のこともあり、本気で米国を非難できる国はない。
 
 このとき、米国は寧辺(ニョンビョン)の核施設などに対する外科手術的攻撃(サージカル・ストライク)から軍事行動を開始する。既に韓国にはF117攻撃機、グァムにはB2爆撃機、という第1撃に投入されるステルス機が展開している。
  
 外科手術的攻撃で北朝鮮の態度が変わらなければ、米国は本格的な航空攻撃に移行する。長距離砲と各種ミサイルによる北朝鮮の再反撃に対しては、韓国軍が一気に北進することになる。むろん、長期化、泥沼化のシナリオもあるが、最短の場合、数日で北朝鮮の体制は崩壊するというのが米国の想定だ。
 ・・・・・・。
                        (おがわ・かずひさ/国際政治・軍事アナリスト)

    毎日新聞 06/10/14(土)朝刊「論点 北朝鮮 核実験強行」

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12.ディープ・スロートはポルノ用語<私のトリビア②>

 ・・・・・・ディープ・スロートはポルノ用語。米国の記者は“ディープ・バックグラウンド(背景)”という言葉を使う。内部情報提供者のこと。ネタモトだ。
 
 ウォーターゲート事件を暴き、ニクソン大統領を辞任にまで追い込んだ『ワシントン・ポスト』のボブ・ウッドワードとカール・バーンスタイン記者、そして『ポスト』編集局長のハワード・サイモンズは、お互い秘密厳守のために、超匿名情報源を、バックグラウンドをもじって、ディープ・スロートと名づけていた。・・・・・・。
 
 ディープ・スロートの正体は三十年以上も謎だった。『ポスト』で知る者は六人、ニュースソースはソースがOKするまで明かすことができないのが鉄則。
 
 リチャード・ニクソンを不意打ちにして叩きのめしたディープ・スロートは、なんと、当時のFBI副長官マーク・フェルトだった。・・・・・・。

      水口義朗 <さて、本題/『ディープ・スロート 大統領を葬った男』
                     (ボブ・ウッドワード著 伏見威蕃訳/文藝春秋)書評>

              サンデー毎日 06.1.22「サンデーらいぶらりぃ」

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13.裏切られた革命-明治維新

「維新」に裏切られた者たち     岡庭昇

 ・・・・・・明治維新を実行したものは、最初は革命を称したが、そのさなかですぐ専制に転じた。・・・・・・幕末の坂本龍馬から戊辰戦役の赤報隊まで、明治御一新をまっとうに民衆の解放ととらえたもの切り捨てられ、「味方」からテロを受けることになった。・・・・・・かくて独裁と私利私欲に満ちた、暗い専制体制が近代を僭称したのである。
 
 国文学者・前田愛は、名著『幻影の明治』において、裏切られた明治革命をいまいちど遡(さかのぼ)り直そうとしたところに自由民権運動の本来の情念があったと喝破した。・・・・・・・

                               (おかにわ・のぼる/文藝評論家)

    サンデー毎日 06.2.5「サンデーらいぶらりぃ」<『梟首の島(上・下)』(坂東眞砂子/講談社)書評>

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14, <北朝鮮・核実験への視点 ③>北朝鮮を責めるだけでよいのか?

(文中の〔  〕内は文紹介者が補足するために追記したものです。)

大国足踏み 滞る不拡散

 ・・・・・・包括的核実験禁止条約(CTBT)を支持する諸国・・・・・・は96年に条文に合意したが、批准国数が足らず、〔CTBTは〕たなざらしのままだ。・・・・・・。
 
 条約発効に至らなかった「失われた10年」の間、インド、パキスタンが核実験し、核保有国になった。北朝鮮は03年に核不拡散条約(NPT)を脱退し、公然と核開発に走った。3国は〔包括的核実験禁止〕条約に署名すらしていない。
 
 発効には、核保有国や主要な原子力利用国など44カ国の批准が必要だ。このうち、核保有国の英仏口、日本など34カ国がすでに批准済みだ。残る10カ国のうち、署名はしたが未批准なのが7カ国で、核保有国の米中、事実上の核保有国イスラエル、核疑惑が消えないイランが含まれる。
 
 核実験が違法化されれば、核保有国による新型核弾頭の開発を抑えられる。実験なしに核保有国となるのは技術的にむずかしく、野望を抱く国に高いハードルを突きつけることにもなる。条約には核軍縮と不拡散の二重効果がある。
 
 CTBTが発効しない大きな要因は、最大の核大国である米国だ。米上院は99年に批准を否決。01年に登場したブッシュ政権も核兵器の性能・安全確認には実験が必要な場合があるとの判断から、条約に徹頭徹尾反対してきた。イラン、北朝鮮に核開発の断念を迫る一方で、核保有国となったインドとは平和目的の原子力協定で合意し、核をめぐる「二重基準」を際だたせてきた。
 
 北朝鮮に最も影響力を持つ中国も96年の条文合意の直前に「駆け込み実験」をした。署名はしており、「全国人民代表大会(国会)での批准待ち」(中国外交関係者)との構えだが、米国や隣国インドの動きを見守っているように見える。
  
 歴史に「もし」は禁句だが、日本政府内からは「米中が批准し、条約発効に向けて機運が高まっていれば、北朝鮮に実験禁止を迫る国際圧力ももっと強まっていただろう」との声も聞こえる。
 
 核保有国が実験すれば、核保有を狙う国が便乗して実験し、核軍拡が加速する悪循環に陥りかねない。
 
 ホワイトハウスの元科学技術政策局次長で90年代にCTBTへの対応を担当したフォンヒッペル・プリンストン大教授は9月、来議会で「米国が核軍縮などに取り組まなけれは、非核国の権利を制限することに支持は得られない」と警告した。
  
 米中も加わって、日本や英仏口などとともに核実験の追放でスクラムを組むのか。「核実験ドミノ」に進むのか。北朝鮮が核実験実施を発表したいま、世界は「失われた10年」をどう取り戻すかの岐路に立っている。
              (論説委員・吉田文彦、ウィーン=関本誠)

    朝日新聞 06/10/15(日)朝刊「核の衝撃 北朝鮮と世界⑤」

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15.<寺山修司と俳句>若者こそ俳句を!

 

 詩歌から演劇、競馬評論までジャンルを駆けぬけた寺山修司の出発は俳句だった。<わが夏帽どこまで転べども故郷>。15歳の青春俳句はいまも輝きを失わず、生きていれば70歳の寺山人気は衰えない。
 ・・・・・・俳句は、決して中高年たちの手すさびでなく、若者に用意された言語芸術である・・・・・・。

    毎日新聞 06/10/15(日)朝刊 『寺山修司の俳句入門』(寺山修司/光文社文庫)書評

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16.全共闘運動とは何だったのか? <団塊世代へのエール①>

全共闘体験     長谷川 宏(哲学者)

 人はだれでも、ふりかえって、かけがえのない体験といえるものが、いくつかあると思う。

 わたしの場合、文句なく指を屈することのできるのが、全共闘運動(東大闘争)の体験である。いまの塾稼業も大学を離れての哲学研究も、この体験なくしてはありえなかったから、未知の相手に自分の現在を語ろうとすると、話はきまって三十年前のバリケード闘争に及ぶ。

 ただし、いうところの全共闘世代にはわたしは属さない。闘争に参加したのが二十八歳、オーバードクターの身だったから、全共闘世代より五、六年は上に当たる。この差は大きい。闘争に深入りはしたものの、どこかにさめた意識があり、教官や学生の動きをも、自分の心の動きをも、やや客観的に見ることができていたように思う。

 一年余のストライキ闘争のなかには、集会、デモ行進、ピケット、大衆団交、立て看作り、ビラ撤き、街頭カンパ、等々、多種多様な行動がふくまれていたが、いま、なにより印象強く思いおこされるのは、会議における息づまるような討論のおもしろさである。

 会議の名は文学部闘争委員会。

 時に応じて開かれるこの会議では、彼我の勢力関係はどうか、なにが中心の問題か、なにをなすべきか、可能な行動形態はなにか、といった点をめぐって各自が自由に思うところを述べるのだったが、さまざまに対立する提案や見解の背後に、発言者の個性や思想性が浮かびあがるようになって、討論は、内奥の思いのぶつかりあう、ことばのドラマの観を呈するに至った。

 自分の責任においておのれの思いを真率に表現し、その一方、他人の発言に誠実に耳傾け、正確にその真意を理解しようとする姿勢が会議の参加者にあったからこそ、ことばのドラマはなりたったのだ。闘争の緊迫感がことばに張りをあたえ、ときにはげしく、ときに静かに、ことばのドラマは進行していった。

 が、ことばの緊張とは裏腹に、会議の場にいるわたしたちの心はしだいにやわらいでいった。共通のことばを必死の思いで求めつつ、ことばを重ねるたびに自他のちがいもまた明確に自覚され、そこに、ちがいをちがいとして認めようとする心の動きが生じる。そのようにちがいを認めることが、心のやわらぐことだったのだ。安易に他人に同調せず、意見の対立を個性や思想性のちがいとしてむしろ大切なことに思う心のかまえ。討論を重ねるなかで、わたしたちがたがいにたいしていだくに至った信頼感は、そのようにも表現できるものだった。

 それまでわたしは哲学徒としてさまざまな討論に参加してきたが、このように信頼感をはぐくむ討論に出会ったのは、目のさめる体験だった。それは、遠く、ことばへの信頼と人問への信頼に通じていた。

 バリケードなきあとも、会議というと、わたしはなにより対等な立場での意見のぷつかりあいを実現したいと願う。三十年後のいまも、そのように全共闘体験が自分のうちに生きていることをうれしく思う。

    日経新聞 99/2/19()夕刊「ブロムナード

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17.団塊世代の奇妙な沈黙 <団塊世代へのエール②>

「全歌集」刊行 道浦母都子さんに聞く

 70年代の「全共闘世代」の青春を歌い、人気を得た歌集『無援の抒情』(80年)から25年、さらに歌人生活40年を記念して『道浦母都子全歌集』が河出書房新社から刊行された。またこのほど東京で開かれた「全歌集を祝う会」には、歌人ばかりでなく作家の津島佑子さん、立松和平さん、吉岡忍さん、歌詞を書いた歌手の都はるみさんら「団塊の世代」がかけつけた。戦後生まれの女性歌人の先頭を走ってきた道浦母都子さんに、短歌にかける新たな決意を聞いた。【酒井佐忠】

 <ガス弾の匂い残れる黒髪を洗い梳(す)かして君に逢いゆく><明日あると信じて来たる屋上に旗となるまで立ちつくすべし>。政治と愛の季節に、道浦さん自身も強くかかわり、学園紛争の中で展開されるドラマチックな青春群像を歌った『無援の抒情』は、歌壇以外の人たちをも魅惑した鮮烈なデビュー歌集だった。

 「青春の総括として、自分だけのために出した最初はわずか500部の歌集でした。歌をやめるか引き受けるか。あの時代の青春を生きていてよかったと思える生き方をしようと、歌を続けてきました。あの歌集のレッテルが私には重かったが、いまやっと自由に、自縛から放たれた気がします。」

 学園紛争以後、社会体制の大きな変化を経験し、道浦さんの歌も転換期を迎えざるを得なかった。それが第4集の『風の婚』。<人のよろこび我がよろこびとするこころ郁子(むべ)の花咲く頃(ころ)に戻り来(く)>などが代表歌となった。「それまでの社会的存在というより一人の普通の女性としての私の苦しみや悩み、結婚と別れなどを自分に正直に歌ったのです」。そして近年の『青みぞれ』は、波乱の多い彼女の生を支えた母の看取りの歌が中心だった。

 47年、和歌山市の生まれ。大阪と東京で青春期を過こした。19歳で新聞歌壇に投稿し、24歳のとき近藤芳美さんを頼り歌誌『未来』に入会した。戦後60年をほぼ同時代的に生き、それぞれの時代に沈潜する空気と自らとの違和を、平明ながら潤いのある文体で表現した集成が『全歌集』。・・・・・・

 「青春や老年期に比べると長い中年期は短歌は作りにくい。この二、三年、体調も悪く随分苦しみましたが、ここで、もう一度仕切り直し」と言う。社会ばかりでなく歌を取り巻く状況も詩の言葉も限りなく変化するが「主義や思想のない混迷の現在に、自立的に生きることができたのは、短歌のおかげ。歌は思考の回路であり、精神の支柱。これからはもっと自然に、感動したものを自由に、おおらかに歌いたい」と道浦さん。

 「祝う会」は各分野で活躍する「団塊の世代」が集合した感じで盛り上がった。「あの世代の人たちの奇妙な沈黙が続いています。いまの社会がこのままでいいはずはありません。リタイアなどといわずに、それぞれの分野でもう一度、再出発をしてほしい」とエールを送っていた。

    毎日新聞 05/5/17()夕刊

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(文中の太字は、文紹介者が強調のためにそうしたものです。)

18.団塊!それでいいのか?! <団塊世代へのエール③>

(文中の太字は、文紹介者が強調のためにそうしたものです。)

                        

          吉田 司(ノンフィクション・ライター)

 私はよく団塊世代と間違えられるが、一九四五年生まれだから、彼らより少し上だ。しかし「団塊=全共闘」という図式を導入するならば、私は彼らの先駆けとも言える。全学共闘会議とは、私の理解では、そもそも学級クラスに限らず、愛好家サークルやクラブ活動にも「スト権の一票」を認めて決議しようという、当時の学園ストの新しい方式のことだった。そのスタイルで戦われた初期の学園闘争が、六六年の早稲田の学費値上げ反対ストライキで、私はそのとき、文学部二年だった。

 机を高く積み上げてバリケードを作り、万余を超えるノンポリのデモの波で、大隈講堂の広場は埋め尽くされた。夜はキャンパスにかがり火をたき、右翼・体育会のスト破りに対抗して、構内防衛隊を結成した。その体育会とのゲバ棒決戦で、相撲部がふるう丸太に頭をたたき割られて、失神。血だらけで病院に担ぎ込まれ、七針縫った。それから二年、全共闘システムが一般化して、あの日大や東大の「大学解体」闘争へと発展していったのである。

 それにしても、今、都内の百貨店を歩くと、やれ年金だ、セカンド・ライフだと、定年間近の、団塊向け大消費ブームがあおられている。ちょっと団塊!お前ら、それでいいのかと思うよね。人生、やっぱお金じゃないだろ、と。

    朝日新聞 05/6/28()夕刊「こころの風景」  

   

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19.団塊世代は68年の志を再び明らかにするのだろうか?!<団塊世代へのエール④>

(文中の〔  〕内は文紹介者が補足するために追記したものです。また、太字も文紹介者が強調のためにそうしたものです。

             加藤周一「夕日妄語」

 ・・・・・・幼年時代の次には、短い学生時代が来る。そこに中年が続き、人生は老年期(六〇代の定年退職後)で終わる。

 ・・・・・・社会とその成員(個人)の関係、個人が社会に組み込まれてゆく過程(社会化の過程)は常に生涯を一貫し、一定の文化の中では、時期に応じた特定の型を示す。

 社会化は全面的で速く進むこともあり(幼年時代)、多面的でゆるやかに動くこともある(学生時代)。また職場で強力な集団の圧力により、限られた領域で徹底することもある(中年層)。定年退職後には、多かれ少なかれ脱社会化の傾向があらわれ、それを負の社会化とみなすこともできるだろう。・・・・・・

 幼年では家庭、中年では職場、どちらの場合にも集団の圧力は圧倒的である。したがって行動様式も相似る。子供の場合には、社会化の不十分のため、与えられた文化の受容へ向かう。中年の場合には、社会化の行き過ぎのため、大勢順応主義へ向かう。そこから大勢順応保守主義を破る個人の、市民としての、独立の精神は、容易に成立し難い。・・・・・・

 比較的集団の圧力が弱い時期は、個人の生涯に二度あり、二度だけある。それは第一に就職以前の学生時代、第二に就職以後の老年期である。圧力が弱ければそれを破って自由にものを考える可能性も大きい。一九六八年の学生は、単なる「暴徒」ではなかった。彼らは「考えた」からである。もちろんそこにも大勢順応主義はあり、考えの未熟と誤りもあった。しかし同時に批判精神も、社会を変えようとする意志もあった。中年の保守主義者の中には、今も昔も個人の考えを捨てない人々があり、職場では発言せず、定年退職後に、その考えを明らかにする。もちろん退職後の発言の影響力は小さい。しかしゼロではない。批判精神の活性化はそこから始まる他はないだろう。

 ・・・・・・人生の三期〔(幼年時代をいわば前奏曲として、その後の学生時代・中年・老年期の三期)〕のなかで、中年層の保守主義は、女性の場合、男性の揚合ほどには徹底していないかもしれない。学生と老人と女性、もし何かが変わるとすれば、そこから変わりはじめるのかもしれない・・・・・・。(評論家)

          朝日新聞 06/2/22()夕刊

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20.郵政公社の悲劇

(文中の〔  〕内は文紹介者が補足するために追記したものです。また、太字も文紹介者が強調のためにそうしたものです。)

郵政公社 カイゼン不調  トヨタ流生産方式 導入3年

 日本郵政公杜が07年の民営化に向けて3年前から導入したトヨタ自動車の生産方式をめぐって混乱している。秒刻みでムダを排した「1兆円企業」から伝授された仕事の「カイゼン」。公社は表向きその効果を強調しているが、・・・・・・現揚からは「作業が混乱し、効率は低下した」「年賀状配達も遅れるのでは」と批判が相次いでいる。

 公杜が採り入れたのは、トヨタ方式を応用した「JPS(ジャパン・ポスト・システム)」。03年、埼玉県の越谷郵便局で最初に試行。指導役のトヨタ社員が、ストップウオッチで郵便物の仕分けの速さを0・1秒単位で計ったり、局員の歩数を数えたりし、作業の全工程を見直した。いまは、全国約1200の普通郵便局のうち約1千局に採り入れている。・・・・・・

 また、〔JPSの導入で〕局内で最短距離を動けるよう床に進路を示すテープを張った。配達する郵便物を区分けしたりする際、立ったり座ったりすると余分な時間がかかるので、いすを撤去して立ったまま作業させることにした。

 ・・・・・・高橋俊裕・〔郵政公杜〕副総裁(元トヨタ常務)らにあてた報告書には・・・・・・〔指導役のトヨタ〕社員が視察した際、〔郵便局〕局長らをその揚で「辞めろ!首だ!」などと非難したことや、「怒り、憤りを通り越してかわいそうな連中だと思った」との感想も記載されている。・・・・・・

 「トヨタ流」を疑問視する声は少なくない。東京都内のある郵便局員(57)は「郵便局の仕事は、定型の部品を使う自動車の製造とは異なる」と指摘する。「日によって郵便物の量に波があるし、一つひとつ形や大きさ、重さも違う。必ずしも一定の時間ではできない」

 配達区域についても、配達部数やバイクの走行距離などから厳密に振り分けられた。担当職員(55)は「坂道や階段、袋小路はほとんど考慮されずに持ち揚が決まる。人員削減のため中規模のビルやマンションも1人で配らなくてはならなくなった」。時間内に配達できずに超過勤務となり、人件費削減にはつながらないという。

 JPSが「労働強化につながった」という指摘もある。いすが撤去された職揚では、腰痛やひざの痛みを訴える人が続出し、遅配の原因になっているという。

 郵政民営化について、小泉前首相は「サービスは低下しない」と繰り返したが、現揚からは早くも来年の年賀状配達を心配する声が出ている。複数の職員が「労働条件が厳しくなり、アルバイトも集まりにくくなっている。憤れない方法で来年は遅配が相次ぐのではないか」と懸念する。

 JPSの導入にもかかわらず、05年度の郵便事業の人件費は前年度より31億円増えて1兆4238億円。超過勤務手当も115億円多い1040億円だった。

    朝日新聞 06/10/29()朝刊

 関連記事→

7.“人間カンバン方式”の大学への“布教”<大学は今?!①>

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21.<必修科目の未履修問題①>文科省・教育委員会は、

 お勉強歌旗ほどにはチェックせず                                  

            藤沢市 遠藤 敏夫

 西木空人選朝日川柳」朝日新聞 06/10/29()朝刊

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22.動画 世界がもし100人の村だったら

動画で見る『100人の村』

 動画提供:NPO法人オアシス

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23.いじめの背景にあるもの、それは

むごたらしい荒野の風景

 ・・・・・・「競争」の旗印の下、欺まん、出し抜き、拝金主義がはびこる。・・・・・・

 ・・・・・・海外支局勤務から帰国した記者の話は日本の病状を知る上で参考になる。「待ち合わせに遅れないとか、電車が時間通りに走るとか、それは世界的な価値基準ではない。禁煙区域での喫煙を、電車内での無作法を注意すると殴られるのではないかと身構える社会こそ異常だ。アフリカでも南米でも、注意されれば照れくさそうに肩をすくめ、その触れ合いから友人になることが多い。日本はフレンドリーシップを失った国になってしまった」

 競争社会の重圧、ストレスが生む「相互不信・敵意」型社会。遅れを取り戻そうと焦った運転士が招いたJR福知山線脱線事故や耐震データを偽造してホテルやマンションを建てた事件。同種の事故、事件がこれからも起きるだろうと予感させる社会はむごたらしい。

 政治の責任は大きい。しかし、小泉純一郎首相が知略、出し抜きの名手だったことを9月の総選挙で思い知った。衆院をいきなり解散し、論争を避けて「郵政」一本やりで国民の目をくらまし、刺客を次々と送り込んで全議席の61%に当たる296議席をとって自民党を大勝させた。勝った途端に、与党は選挙中には口を閉ざした増税案を次々決める。

 こうした現実が、子供たちに与える影響は大きい。目的実現のためには、勝てぱいい、異分子は排除する、面倒な議論は無用、法に触れなければいい――。おおらかさも、懐の深さもない荒野の光景だ。友人関係が築けない、本音の会話がない、気に入らない子はいじめる……子供社会は大人社会の鏡でもある。・・・・・・

    毎日新聞 05/12/28()朝刊「記者の目

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24.ハンガリー動乱と今日の日本

ハンガリー動乱50年  民衆が求めた理想とは             池田浩士

 一九五六年十月二十三日、「ハンガリー動乱」と呼ばれる歴史的事件が勃発した。首都ブダペストでの労働者・学生による反政府デモが、秘密治安警察の機関銃乱射をきっかけに、大規模な反乱に転じたのである。東西冷戦下のハンガリーは、米国主導の「北大西洋条約機構(NATO)」に対抗して五五年に締結された「ワルシャワ条約」の加盟国であり、ソ連のいわゆる「衛星国」のひとつだった。デモ参加者は、ソ連に追従する政府を糾弾し、首相ラーコシの追放、ソ連とのすべての関係における平等、前年ソ連の強圧で罷免されたイムレ・ナジ前首相の復権などを要求した。――翌十月二十四日、ナジが首相に任命され、民衆の要求は実現に向かって歩みはじめたかに見えた。だが、同時にソ連軍が出動し、弾圧に乗り出した。民衆は、戦車主力の圧倒的な軍事力に抗する闘いを余儀なくされた。十一月四日、ソ連軍が首都を制圧し、ナジ首相はユーゴ大便館に亡命した。ソ連に忠実な新政府が任命された。ナジ処刑をソ連が発表したのは、五八年六月のことである。

 「ハンガリー動乱」で決定的に重要な役割を果たしたのは、「ペテーフィ・サークル」という知識人を中心とするグループだった。反政府デモを呼びかけ、要求のスローガンを提起したのも彼らだった。彼らはまた、工場労働者たちが掲げた「労働における自主管理」の要求と連帯した。その「ペテーフィ・サークル」の精神的支柱の一人は、思想家ジェルジ・ルカーチだった。彼は、かつて第一次大戦の終結後、一九一九年春から夏にかけてわずか百三十三日だけ存在したハンガリーの革命政権、ロシアに次いで世界史上二番目のソヴィエト(評議会)政権で、教育人民委員(文部科学相)として、想像カと自発性を重視する文化政策を試みていた。その彼が、ナジの政府で再び同じ教育大臣となった。敗北後、ルーマニアに連行し幽閉したルカーチを、ソ連はついに殺すことができなかった。

 スターリン主義と称される全体主義的な体制に、徒手空拳ともいうべき状態で抵抗し、当然のことながら敗北したこのハンガリーの民衆運動は、孤立した出来事ではなかった。ソ連の独裁者スターリンは五三年三月に死亡していたが、その後も、冷戦の中でソ連の支配体制は維持された。だが、スターリンの死の三カ月後、共産圏における最初の民衆暴動が、東ドイツの首都ベルリンで勃発した。三年後の五六年二月、ソ連共産党第二〇回大会で、ついにスターリン批判が行われた。・・・・・・その三週間あまりのち、ポーランドで反政府暴動が始まった。「ハンガリー動乱」は、これら一連の抵抗のひとこまだったのだ。そして、敗北に終わったこのひとこまは、やがて十年以上の年月を経て再生する六八年の「チェコ事件」、つまり「戦車社会主義」に抗する「プラハの春」によって、ついにその二十三年後の「ソ連崩壊」にまで行きつくことになる。

 社会主義社会、さらには共産主義社会の創出によって、差別も抑圧も搾取もない自由と平等と友愛の世界を実現する――という理想とは裏腹に、その理想が無残にも挫折させられた一時代、ソ連社会主義体制の一時代に、ハンガリーの民衆もまた自らの主体的行動によって、その時代に抗し、その体制に終止符を打つ一翼を担ったのだった。それから半世紀が過ぎたいま、だがそれでは「社会主義体制の崩壊」で現実は改善されたか・・・・・・。ソ連という対抗軸を葬り去った唯一の超大国によって、世界は殺戮(さつりく)と混迷の渦に投げ込まれている。その渦の中で、少なくとも日本の私たちは、超大国に追従する政権に歓呼を送り、自由と自主性とかけがえのない生命の価値よりも国家の意思を上に置いて恥じない世論の一員として、生きている。へだたりは、五十年という歳月だけではないのだ。

    (いけだ・ひろし/京都精華大教授<ドイツ文学>。1940年生まれ。慶応大博士課程修了。京大教授を経て現職。著書に『ルカーチとこの時代』など。

    毎日新聞 06/11/5()朝刊「21世紀を読む」

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25.人権擁護法と言論・表現の自由

人権擁護法   

  HP「誰かの隣。」より

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26.2ちゃんねるの住人とはどんな人? そして、彼らの怨念とは?

 これらについて、辛淑玉さんは次のように述べています。(なお、文中の太字は編集人が強調のために付したものです。)

        辛淑玉(人材育成コンサルタント)

 ここ数年、インターネットというサイバースペースの中で、すさまじいバッシングの嵐が吹き荒れている。例えば掲示板の書き込みなどでは、女、外国籍住民、被差別部落民、学歴の低い者、障害者、セクシュアルマイノリティといった、いわゆる社会的弱者が、匿名の陰に隠れた卑劣な差別発言のターゲットにされている。

 しかし、この匿名の攻撃者たちが決して叩こうとしない対象が、日本人で、若い男で、そして高学歴の貧乏人である。つまり、彼らこそが、こうした攻撃者たちの正体なのだろう。

 学歴は高いのに正社員にはなれず、職についても高い収入は得られず、不安定な身分を強いられ、時には彼らが見下す女や外国人や障害者などより低い位置に置かれることさえある。そうしたことへの怒りのマグマは、バブル崩壊後着実に蓄積されていたに違いない。

 近年、少しずつ積み上げられてきた社会的弱者に対する人権擁護や社会的地位の改善政策がもたらした、わずかな生活のゆとりや人間らしい暮らしですら、これらの人々にはいらだちのもととなるのだろう。

 1960年代、アメリカで成立した公民権法によってアフリカ系アメリカ人の地位が多少向上したことに激しい憎悪を抱く、いわゆるプアーホワイトの存在がその後政治的に注目されるようになったが、ネット上で憎悪をむき出しにする攻撃者たちは、いわば日本版プアーホワイトとでも呼べばいいのだろうか。

 多くの政治学者が分析するところによれば、今回の選挙での投票行動の特徴は、従来自民党支持者ではなかった層が自民党に投票していることだという。この中で私が特に注目しているのは、都市で生活する未組織の事務系労働者やサービス業に従事する若年労働者たちの存在である。

 彼らは、中小企業で働く下層サラリーマンや非正規雇用の店員など、相対的に低い地位に甘んじている都市大衆だ。

 いわゆる社会的弱者が、自分たちの権利を少しでも前進させるために政治に敏感で、活発に社会的な発言を行う傾向があるのに対し、これら日本版プアーホワイトたちはほとんど政治に関心を示さない無党派層として消費主義に徹してきた入々だ。

 しかし彼らには、組織された労働者である公務員や大企業の正社員たちに対する、ある種の怨念がある

 彼らの目には、正規雇用者とはまぎれもない特権階級、白分たちの雇用を守るための調整弁として彼らを使い捨てにし、経営者と共に踏みつけにしてきた者たちに見える

 そして彼らにとって労働組合は、正規雇用者のためだけの雇用確保機関であり、特権階級にサービスを提供することしか考えず、経営者とも闘わない、単なる互助会的組織でしかない。

 本来、非正規雇用の労働者たちにとっても、労働組合は自分たちの地位を改善するために必要な共通の社会資源であるはずだ。しかし、そのような認識を持ち、地域社会の再生やパート、アルバイト、派遣労働者などの雇用や人権を守るために踏ん張ってきた労組は私の知る限り、ごくわずかしかない。

 未組織の都市大衆の目に映る労働組合は、自分たちと仕事を分かち合ってくれる組織ではなく、むしろ経営者の代理人に近い。そしてリストラや契約労働の拡大などによって雇用環境が激変し、非正規雇用が多数派となった今日、組織化された労働者は、かつてとはまったく違う意味合いを持つ特権的存在となってしまった。今回、小泉劇場という政治参加の舞台に久しぶりに登場し小泉政権の圧勝を支えたのは、これら日本版プアーホワィトたちの怨念だったと言っても問違いではないだろう。小泉首相の「改革」は、特権的労働者をそのぬくぬくとした地位から引きずりおろし、自分たちと同じ惨めさを味わわせてくれるに違いない。彼らはそう思ったのではないか。

 その象徴としての生け賛が「公務員」であり「郵政」だった

 小泉首相は今回の総選挙で大衆の怒りを巧妙につかみとった。そして、暗い後ろ向きのねたみやそねみ、他人の不幸を願う感情を見事に組織化し、操作することに成功した。かつて政治ともっとも縁遠かった入たちが自民党に投票した結果、未組織の無党派層が多い都市部の小選挙区では民主党は総崩れになり、東京都内の25小選挙区で議席を確保できたのは、菅直人・元民主党代表だけだった。(後略)

 (シン・スゴ/1959年生まれ。在日コリアン3世。人材育成コンサルタント会社「香科舎」代表。明治大学政治経済学部客員教授。著書に『怒りの方法』『鬼哭啾啾

』など。)

  論座 05年12月号

   「野党に欠けているもの それは『怒り』です」

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27.数学の苦手な高校生にアドバイス!

                 柄谷行人

 ・・・・・・僕がいいたいのは、記憶力を馬鹿にしてはいけないということです。受験勉強でも暗記科目なるものが軽蔑されるけど、入学試験の数学なんて、問題パターンの暗記じゃないですか。いかに問題のパターンを知っていて、いかに早く応用するかという訓練ですね。それなのに、暗記とそうでないものに分けてしまっている。どっちみちすべて暗記科目だと思えばいいんです。

 僕の考えでは、数学は一種の外国語です。外国語をおぼえるように、おぼえるのです。・・・・・・

 (からたに こうじん/1941年兵庫県生まれ。東大大学院英文科終了。文芸評論家、法大教授。著書に『隠喩としての建築』『探求Ⅰ』など。

  朝日ジャーナル BOOK GUIDE88(88年4月)「書を捨てるための『頭の基礎体力』作り」

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28.教育基本法改変は教育のクーデター!

《対談》これは「教育のクーデター」だ

             尾木直樹/西原博史

 尾木 与党案全文を読んでまず感じたのは、「夢も希望も抱けない基本法だな」ということでした。私が現在の教育基本法で一番輝いていると思うのは、前文の「この(憲法の)理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」という文言です。つまり、ここには、歴史の後継者である次世代への信頼が、限りなく大きく、力強く脈打っている。改定案にはそういう夢やロマンが全然なくて、逆に次世代、子どもたちへの不信に満ちています。しかも子どもだけではなく、地域や家庭までがんじがらめに統制しようとしています。

 具体的に五つ、申し上げたい。

 一つは、ここに示されている転換は、単に一八○度曲がるというような転換(ターン)ではなく、「教育におけるクーデター」といえるほど抜き打ち的で質的な大転換である、ということです。これをてこに社会全体を変えようとしている

 二つは、冒頭の感想とも関わりますが、子どもを信頼に基づいて育てるのではなく、大人の下僕化しようとしているということ。これは、子ども観の大後退であり、大人と子どものインタラクティブな関係性の崩壊とさえ呼べるものです。

 三つは、家庭にまでも国家の手が伸びようとしていること。たとえ正しくても家庭教育の指針など、国家が口出しすべき領域ではない。これは原理原則です。こんな形で改定されたら、親子関係は大きなプレッシャーを受けて、上下関係に変質させられる。この一年ぐらいの少年の事件をみると、親殺し、兄弟殺しなどが増えていますが、そういう傾向が一層深刻になっていくのではないでしょうか。

 四つ目は、これでは学校が国の「ロボット製造工場」になり下ってしまうことです。新たに五つの「教育の目標」が掲げられ、徳目が二〇項目も入っている。これらが全部、「態度」を求めていて、もし態度が教育の目標になってしまったらこれは日本の学校の教師の本能ですが必ず成果を「評価」しようとします。そうすると東京都のように「君が代」をどの程度大きな声量で歌ったか声量調査をするとか、口をちゃんと開けていたかデジカメ撮影するというようなことが起きる。現場は真面目で杓子定規で動きますから、「教育なき管理主義」が学校を覆い尽くすだろうと思います。これはもう教育ではありません。

 最後ですが、教師が変質させられてしまうことです。人格を完成させるサポーターの役割だったのが、これからは人材育成の「ロポットエ場」の法令執行人になってしまう。

西原 尾木さんのご感想には、私も同感です。あえて法を専門とする私の見方を付け加えれば、「実にうまくつくられた法案」といえます。言葉の上では現行の教育基本法と同じものが残っていますが、それが完全に換骨奪胎され、逆の意味になっているのです。

 たとえば第一条「教育の目的」の中に、現行法でいちばん重要だった「人格の完成」が維持されましたが、いままでは一人ひとりが自分なりの人格を掴み取っていくという意味だったのに、法案においては、国が定めた道徳が身に付いて初めて一人前の人格をもった存在になる、目標を国が定めて、そこに向かって子どもたちが到達していくという発想になっているのです。あるいは、現行一〇条の「教育は、不当な支配に服することなく」も、言葉としては残りましたが、これまでは国家権力や教育行政の介入を恐れていたからこそ、それらの不当な支配を受けず、国民に対する直接の責任において行なわれるとされていた。ところが改定案では、国民の多数派が政府を作るのだから、教育の内容は時の政府が定めていく、そこから逸脱したり邪魔が入るようなことは、不当な支配としてはね除けるという意味になっています。完全な逆転です。

 尾木さんがいわれたことと重なりますが、子ども観を転換して、“操作する対象”として子どもを見ています。もっといえば、いまの政府の考える都合のいい国民をどうつくるか、どう意識を洗脳するか、そういう方向で、学校教育あるいは全ての国内の教育と呼ばれるプロセスを位置づけようとしているのです。そして、改定案で言う「教育」というのは、二条の「教育目標」の実現のことですから、今後日本のあらゆる所で行われる教育的な行為は、この二条の教育目標に役に立つ部分は応援するけれども、ちょっとでも違うことがあれば、教育の妨害として潰していくということになります。これは家庭の中でも、地域や私立学校においてもそうなります。そういう意味では学校の中だけではなく、社会全体を再編成し、根本的に引っ繰り返すところまで射程が及んでいる、まさに「クーデター」だと思います。(後略)

 (おぎ・なおき…1947年生まれ。教育評論家、法政大学キャリアデザイン学部教授。著書『思春期の危機をどう見るか』『子どもの危機をどう見るか』<以上、岩波新書>)

 (にしはら・ひろし…1958年生まれ。早稲田大学社会科学部教授。著書『良心の自由と子どもたち』<岩波新書>、『学校が「愛国心」を教えるとき』<日本評論社>ほか)

    世界(岩波書店) 06年7月号

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 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

29.宇井純さんの死を悼む!

        (文中の太字は編集人が強調のために付したものです。)

リベラルな社会目指し闘った巨人 宇井さんの死去に接して

                 宇沢 弘文

 ・・・・・・宇井さんは東大で応用化学を専攻し・・・・・・工学部助手になったが、その頃から、水俣病が大きな社会問題となりはじめた。チッソが長年にわたって、水俣湾、さらには不知火海全体に垂れ流した膨大な量に上る水銀によって、多くの人々が脳神経中枢を冒され、言語に絶する苦しみに悩まされつづけてきた。宇井さんは戦後の窮乏を象徴する食糧不足をもっとも効果的に解決する科学として応用化学を選んだが、その応用化学が神聖な海を汚し、魚を侵し、多くの人々の健康を冒し、その生命を奪い、やがては地域社会の崩壊すら招きかねないことを知って、大きなショックを受けた。と同時に、日本社会に強く残っている社会的、経済的、因習的差別につよい憤りを覚えて、数多くの公害反対運動に携わり、常に往民の立場に立って、行政や企業のあり方を厳しく追及しつづけた。

 東大紛争のときも、宇井さんは全共闘の学生たちが提起した問題に対して誠実に対応し、同時に東大における教師、研究者のあり方に対しても厳しい批判を突きつけた。紛争後、東大が倫理的、学間的に自滅の道を歩み始めてからは、教室を一般に開放し、自主講座「公害原論」を開講して、公害問題を一つの学問的領域として確立するために大きな貢献をした。全国各地の公害反対運動に指針を与え、住民運動のあり方に大きな影響を及ぼした。沖縄大学に移ってからは、沖縄の美しい自然を保存し、平和を守るための運動に積極的に関わってきた。

 今、アメリカの産業的、金融的資本が市場原理主義を武器として、世界の多くの国々の自然、社会、文化、そして人間を破壊しつつある。市場原理主義は、儲けることを人生最大の目的として、倫理的、社会的、人間的な営為を軽んずる生きざまを良しとする考え方である。宇井さんが、その生涯を通じてもっとも嫌悪し、闘ってきた、人間として最低の生きざまである。この市場原理主義が、小泉政権の下で、日本に全面的に輸入され、社会の非倫理化、社会的靱帯の解体、文化の俗悪化、そして人間的関係自体の崩壊をもたらしつつある。

 この危機的状況の下で、宇井さんを失うことの損失は大きい。・・・・・・しかし、・・・・・宇井さんの志を継いで、日本をもっと人間的、自然的、社会的に魅カのあるものに変えてゆくために力を借しまない人々が必ずや大勢出るに違いない。・・・・・・

 (うざわ・ひろふみ=東大名誉教授、経済学)

 沖縄大名誉教授の宇井純さんは11日死去、74歳。

    毎日新聞 06/11/16()朝刊

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30.自衛隊のイラク派遣の実態とはいかなるものだったのか?~前代未聞の金品で安全を買う軍隊~

安全確保のため有力部族優遇

 イラク南部のサマワにある陸上自衛隊の旧宿営地に入った。イラク軍のサマワ駐留司令官フセイン・ズウェイド准将は、7月の自衛隊撤収の模様をこう語った。

 「自衛隊は、引き継ぎ式もなく逃げるように出ていった。・・・・・・」

 宿営地の管理を引き継いだ後、准将は地主に「自衛隊と同じ処遇をしろ」と詰め寄られた。彼らの話を聞いて驚いた。ある地主は自衛隊と合意したとする年額約3千万円の土地謝礼の協定書を見せた。別の地主は「宿営地に砂利を納入して30万ドル(約3500万円)を得た」と訴えた。

 地主はみなザイヤード族の一員だった。サマワのあるムサンナ州で最も力を持つ部族だ。「自衛隊は金を使って部族長に様々な便宜と事業契約を与えた。ザイヤード族から運転手、護衛、清掃作業員も雇っていた。代わりに安全を得ていた

 サマワで自衛隊は一人の犠牲も出さなかった。強力な部族杜会が、自爆テロなどに訴える武装勢力の接近を食い止めた。ザイヤード族はその中核にいた。

 サマワの反自衛隊勢力は・・・・・・04年に米軍との衝突に連動して、自衛隊の宿営地への迫撃砲攻撃も始めた。同年夏に米軍とは停戦で合意したが、その後も自衛隊への攻撃は続いた。・・・・・・

 自衛隊は有力部族長の地元の道路を舗装し、学校を改修し、医療センターをつくった。地元では部族長への「贈り物」とみなされている。

 サイヤード族の有力者の一人に・・・・・・リサン・ムタシェル氏(40)がいる。自衛隊はリサン氏の家の前から幹線道路とつながる1・5キロの舗装工事を行い、撤収一カ月前に完成した。・・・・・・リサン氏は「自衛隊が到着した時に、部族を組織して宿営地の周りで自主的に護衡をするなど、自衛隊を助けてきた」と主張した。

 ・・・・・・宿営地に向けて繰り返しロケット弾が発射されても自衛隊は駐留を続けた。部族を取り込みサマワを「非戦闘地域」に維持することが、最大の目的となっていった。イラク国民のための復興支援事業が、自衛隊がイラクに踏みとどまるための道具になってしまった

 (編集委員・川上泰徳)

    朝日新聞 06/9/1()朝刊

      「サマワからの報告≪下≫」

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31.プラトンはソフィストに激しく嫉妬した!

 プロタゴラスやゴルギアスに代表されるギリシャのソフィストたち。本来なら「知恵のよく働く人」という意昧なのに、「詭弁(きべん)を弄(ろう)する似而非(えせ)知者」という悪名が付き纏(まと)って離れない。「無神論や不可知論、相対主義によって社会と道徳を破壊し、若者たちを腐敗させる背徳者」という烙印(らくいん)を押されてきた。

 しかし、ギリシャに始まった西洋哲学のあり方が根本的に問われている今、ソフィストの存在を見直す作業は、不可欠なのだ。哲学の再興は2500年の時空を超えて、ソフィストとの対決を通じてしかあり得ない。・・・・・・

 ソフィストとは授業料をとって「公的な場で上手に言論(ロゴス)を操る技術」を授ける西洋史上初めての職業的教師だった。若者たちは新鮮な知的刺激を与えられ、熱狂的に迎えた。それに最も危機感を感じたのがプラトンだった。

 プラトンは師ソクラテスがソフィストではなく「哲学者」であることを弁証することでソフィスト批判を展開する。知識の教授と引き替えに金銭を取ることは、知の自立を否定するものだ。「全知」を標榜(ひょうぼう)するなど傲慢(ごうまん)であり、「不知」を自覚し「知」を愛し求め続けるところに「哲学者」の所以(ゆえん)があるのだ。

 こうしてプラトンの「若者を誑(たぶら)かす不道徳なイカサマ師」というソフィスト像が歴史的に定着していく。・・・・・・

 読売新聞 06/11/12()朝刊

  『ソフィストとは誰か?』(納富信留/人文書院)書評(評・橋本五郎<本社編集委員>)

   のうとみ・のぶる 1965年、東京都生まれ。慶応大学文学部助教授。

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32.憲法第9条を棄てるとき、日本人は限りなく堕落していく!

 (文中の〔  〕内は文引用者が補足するために追記したものです。また、太字も文引用者が強調のためにそうしたものです。)

「拠り所としての理想」という根源  田中優子

 「現行の憲法は、日本が占領されている時代に制定され、既に六〇年近くがたちました。新しい時代にふさわしい憲法の在り方についての議論が、積極的に行われています」――これは安倍首相の所信表明演説の一節である。私はこのような発言を聞くたびに、何か日本がとても小さなものになった気がする。それはこの文脈のなかの「憲法」を、「私の家」とか「この町の下水道」とか「村の公民館」と入れ替えても少しもおかしくないからだ。これを「倭小化(わいしょうか)」というのだろう。理想というものを古い、新しい、誰が作った、という次元に引きずり下ろしてしまう人々が、この世にはいるのである、日本の功利主義はここまで来た。そういう思いを抱きながら過ごしている目の前に、この本〔(『憲法第9条を世界遺産に』大田光・中沢新一著/集英社新書)〕が登場した。・・・・・・

 ・・・・・・本書には九条を表現するキーワードがいくつも出てくる。「奇蹟」「珍品」「無茶」「面白い」「常軌を逸している」「正気を失っている」「瞬間の輝きとともに世界に出たもの」「二度と取り消しがきかないもの」「先住民族の影響を受けたアメリカの建国精神と日本の合作」「人間の限界を超えようとする挑戦」「たった一つ日本に残された夢であり理想であり拠り所」「ドリームタイム(根源の場所)」等々。これらは今まで憲法九条について語られてきたものと異なっている。メツセージは「憲法九条はふつうでない」ということだ。ふつうの国になりたいような国にはもったいない憲法だと思える。

 面白いと思ったのは中沢新一の次の言葉だ。「憲法九条は修道院みたいなものなんですね。……たとえ無茶な場所であっても、地上にそういう場所がある、ということを、いつも人々に知らせている……普通に考えたらありえないものが、村はずれの丘の上に建ってるというだけで、人の心は堕落しないでいられる」――私も常々、憲法九条問題は人間の堕落について考えさせる問題ではないか、と思っていた。時代の変化に従い、社会の実情に合わせて理想を改変しよう、という考えを「堕落」という。憲法九条問題は、人が堕落しないでいられるその仕組みを、社会が失ったところに立ち上がってきた。憲法九条の存在は唯一の俗を越えるものとして、私たちの生活の中に措定できるものなのかも知れない。だとするとこれすらも失ってしまったとき、日本人の精神はどうなるのだろうか?・・・・・・

    (田中優子さんは法政大学教授

 毎日新聞 06/10/15(日)朝刊『憲法第9条を世界遺産に』書評

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33.ルワンダ大虐殺の原因は、かつての植民地支配にあり!

 (文中の〔  〕内は文引用者が補足するために追記したものです。また、太字も文引用者が強調のためにそうしたものです。)

       多賀幹子(フリージャーナリスト)

 アフリカ・ルワンダでの大虐殺は、遠い国の不幸な出来事と、すでに記憶から薄れていた。しかし本著〔(『生かされて。』イマキュレー・イリバギザ、スティーヴ.アーウイン著/堤江実訳/PHP研究所)〕から受けた衝撃は、今後忘れることなど絶対にないと誓えるほど強烈だった。

 94年、100万人ものツチ族がフツ族に殺害された。当時、女子大生だったツチの著者イマキュレー・イリバギザは、牧師の家の小さなトイレに7人の女性と3ヵ月ほど身を隠した。

 槍(やり)や大鉈(おおなた)を手にして自分を殺そうと探し回る声が、壁一枚を隔てて聞こえてくる。しかも彼らはかつての友人や隣人だ。想像を絶する恐怖の中、神との対話を力として耐え抜く。

 フランス軍キャンプに駆け込んだ後は、両親と兄弟の無残な死を知らされた。

 そもそもツチとフツの争いは、ベルギーなど元宗主国が採り入れた差別的な階級制度に発する。彼女は留置揚の殺人者に面会、「あなたを許します」と告げたのだった。・・・・・・

 朝日新聞 06/11/26(日)朝刊 『生かされて。』書評

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34.防衛省誕生で、不戦60年の終焉を告げる晩鐘が鳴り響く!

 戦争が終わって60年が過ぎた昨年、詩人の長田弘さんはそのころ盛んに語られた「戦後60年」という表現に疑問を投げかけた。・・・・・・

 「昭和の戦争に敗れて戦争はしないと決めてからの、戦争をすることを選ぱなかった『不戦60年』という数え方のほうが、この国に戦争のなかったこの60年の数え方としては、むしろ当を得ています」(長田弘「知恵の悲しみの時代」みすず書房)

 60年もたてば、多くのものは古くなって時代に合わなくなる。手直しするのは当然だ。憲法しかり、戦後民主主義しかり――。そんな風潮がある。

 だが、日々続けてきたものは古くなるのではなく、日々新たな到達点がある。そこを前向きに評価したい、というのが長田さんの言いたいことだろう。

 防衛庁を「省」に昇格しようという法案の審議が・・・・・・大詰めを迎えている。・・・・・・「庁」という形は時代に合わないから、直したいということのようだ。

 防衛庁が生まれて52年がたつ。・・・・・・この間の歩みには、戦前とは違う国のありようを求めてきた私たち自身の決意が投影されていることを忘れてはならない。

 戦後日本は、侵略と櫃民地支配の歴史を反省し、軍が政治をゆがめた戦前の過ちを決して繰り返さないと誓った。だからこそ、戦後再び持った武力組織を軍隊にはせず、自衛隊としてきた。普通の軍隊とは違う存在であることを内外に明らかにする効果も持った。

 軍事に重い価値を置かない、新しい日本のあり方の象徴でもあった。国防省や防衛省ではなく「防衛庁」という位置づけにしたのも、同じメッセージである。

 ・・・・・・問われているのは私たちの決意であり、そうありたいと願う戦後日本の姿である。古びたり、時代に合わなくなったりする問題ではないはずだ。

 ・・・・・・省になることで、軍事的なものがぐっと前に出てくることはないのか。そんな心配もある。

 日本は、惨憺(さんたん)敗戦に至った歴史を反省し、新しい平和の道を選んだ。それは多くの国民が賛成し、いまも支持している選択だ。その重みを考えると、あたかも古い上着を取り換えるようなわけにはいかない。

 (文中の太字は文紹介者が強調のために付したものです。

    朝日新聞 06/11/30()朝刊「社説」

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35.国鉄の分割民営化――振り返れば、これが日本が狂い始めた起点だった!

 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

民営化という暴走電車

          金子 勝(慶応大学教授)

 JR西日本の尼崎事故は、107人もの死者を出す大惨事となった。柳田邦男「JR尼崎事故破局までの『瞬間の真実』」(現代7月号)は、被害者の証言によって現場の状況を一つひとつ再現し、そこから原因を追究している。丁寧で粘り強い分析が説得的だ。

 柳田は、運転土の集中力を奪った原因として、「『日勤教育』という名目」の「科学的安全対策に逆行する旧態依然たる威圧的厳罰主義」をあげ、また「経常利益は九九年以降上昇を続けている」にもかかわらず、「新型のATS―P(自動列車停止装置)増設に対する設備投資」が低いという、会社の「利益優先主義」をあげる。さらに、事故の死傷者数を減らす「サバイバル・アスペクツ」が大事だとして、車両軽量化の与えた影響を重視し、今回の事故で「生と死を分けた条件」をきちんと調査すべきだとする。

 91年の信楽高原鉄遺事故でも、安全軽視の過ちを認めず社会的責任を回避しようとしてきた経営者たちは、事故原因を運転士のヒューマンエラーに帰そうと必死になる。JR西日本現役運転士の匿名座談会「現場は何を求められてきたのか」(世界7月号)は、現場の恐怖政治の実態を生々しく伝えている。「日勤教育」だけではない。「ヒヤリハット(ヒヤリとしたりハッとしたケース)」を見つけるのは、安全のためではない。実際には「社員をチェックするため」に「ヒヤリハットを一日三件みつけるのが、係長のノルマ」となっており、しかも「見習い運転士を教える指導操縦者」から組合員のベテランが排除され、「運転土経験三年ぐらいの、二六、七歳の運転士に指導させている」。この異常な労務管理は、国鉄民営化に端を発する

 野田正彰「惨事はなぜ起こったのか 検証・尼崎列車脱線事故」(同7月号)は、「あの時、100人を超える国鉄労働者が自殺し、強制収容所もどきの人活センターに閉じ込められた。今も復職を求める1047人の国鉄マンを無視し続けている。このような国鉄解体の歴史問題は否認され、働いている人が『無理だ』と言えない会杜を造ってきた」のだという。そして、「この事故が起こる前、JRは民営化の成功例であり、今後の民営化はJRに学ぶべきだと言っていたのは誰か」と間いかける。メディアの責任は重い。メディアは国鉄民営化を煽(あお)り、その人権無視を十分に批判してこなかった。異なる意見が抹殺されれば民主主義が死に、会社や社会の暴走を止められなくなるのだ。

 多くの人は、まだ民営化や規制緩和は利益政治をなくすことができ、巨額の債務を解消できると信じている。だが、それも虚構だ。汐留や東京駅前などの「おいしい土地」が大手ゼネコンに流れた。その一方で、白川一郎によれば、国鉄清算事業団が87~98年に売却した5902㌶の約84%が自治体の特殊法人「土地開発公杜」などへ流れ、これが自治体財政を圧迫している(『自治体破産』NHKブツクス)。

 それで、旧国鉄の巨額の債務は解消されたのか。これらの旧国鉄用地売却後も長期債務は増え、結局、一般会計に移されて国民負担となった。つまり民営化の名のもとに、官僚たちによる国の財産の乗っ取り、優良資産の横流しと不良資産の自治体への押しつけ、さらに旧国鉄借金の国民による税負担が生じただけであった。実は、国鉄民営化とそれに続く土地バブルこそが、この社会が狂い始めた起点だったのだ。

 その国鉄民営化の先頭に立ったのがタカ派・市場原理主義者たちであった。民営化を進めた国鉄宮僚は、葛西敬之、持手正敬、松田昌士の「青年将校」たちであった。彼らは、分割JRで経営トッブにつき、国労潰(つぶ)しに走った。葛西はいまや憲法改正の旗ふり役だ。井手は、JR西日本の会長になり、「日勤教育」など恐怖体制を作り上げてきた。事故の原因を「国鉄末期の官僚的体質、無責任体質」に帰し、「効率を上げるのは当たり前」(5月25日付朝日新聞)と利益優先の姿勢を反省しようとはしない。そこには公共性のかけらも見られない。

 一方、政治家では三塚博、つまり小泉純一郎が所属してきた森派の元会長が精力的に動いた。その小泉首相は、いまも「官から民へ」という呪文を繰り返す。そして尼崎事故があった当日、自民党執行部と郵政民営化法案の国会提出に合意した。もはや誰も暴走を止められない。

 郵政民営化についても「国の事業だからこそ議会からの監視を受け、『官・業』癒着や無駄なコストに国民の厳しい視線が注がれる。民営化されれば、ファミリー企業群との癒着も無駄遣いも、いっそう見えにくい霧の中へと覆い隠されていく」のだ(亀井洋志「知られざる郵政ファミリー企業『腐敗の実態』」現代7月号)。

 この事故は、起こるべくして起きた。すでに15年前の著作、鎌田慧『国鉄改革と人権 JRは安全か』(岩波ブックレット)が警告を発していた。鎌田は、人権無視の国労組合員排除を民主主義の危機だと指摘し、汐留などの国鉄用地売却に群がるゼネコン・不動産業の実態を明らかにしたうえで、「三〇秒遅れても処分される。恐怖政治である…ATS…のアラームがなる。が、運転士は確認ボタンを押してなお前進する。赤信号になっていても、さらに前進し、追突する」と書いている。実はこの時から、この社会は暴走する電車に乗っていた。多くの人は、電車が壁に激突するまで、そのことに気づかなかっただけなのだ。

    朝日新聞 05/6/28()夕刊「論壇時評」

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36.日本政府はいじめ問題に取り組もうという気持ちは爪の垢ほどもない!

不登校といじめ 内田良子さんが語る

(前略)

〔編集部〕教育基本法「改正」によって、現場では「個人」が尊重されず、上から下への指示、指導が強まるのではないでしようか。

〔内田さん〕ますます学校が管理的で息苦しくなり、ストレスのはけ口が、強い者から弱い者へ――まず先生から子どもへ、そして子どもから子ども、先生から先生へ…と及んでいくのではないかと、懸念しています。今回、履修不足の問題で高校の校長が命を絶ちましたが、校長がどちらのサイドに立ち、誰に対して責任を取ろうとしたかというと、「お上」に対してですよね。本当に上を見ている。そうすると、必然的に子どもは踏み台になるわけです。政府が、いじめの問題に本気で取り組もうという気持ちが爪の垢ほどもあれば、教育基本法「改正」案をこの時期に採決することはありえないわけです。そういう点で、国家にとっての教育であって、子どもたちの二ーズを尊重するという発想からはきていませんよね。(後略)

 うちだ りょうこ・心理カウンセラー。子ども相談室・「モモの部屋」を主宰する傍ら、東京都内・保育所心理相談員。NHKラジオの電話相談「子どもの心相談」アドバイザーなどとしても活躍している。

 週間金曜日 06/11/24号「教育があぶない!2006年」

 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

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37.「共謀罪」新設で、冗談一つ言えないイビツな社会が到来する!

 ある時、ネズミたちが集まって、猫の攻撃から身を守る手だてを相談する。このイソップの物語では、猫に鈴を付ける案に「誰が付けに行くのか」という厳しい現実が立ちはだかる。

 相談だけで物語は終わり、ネズミたちの暮らしも、おそらくは元に戻った。しかし、もし・・・・・・「共謀罪」があの世界にあったならどうか。ネズミたちは、猫への「営業妨害」の共謀で摘発されたかも知れない。

 犯罪の実行を話し合っただけで罪となる「共謀罪」の新設を盛り込んだ組織的犯罪処罰法などの改正案・・・・・・。改正の本来の目的は、国際的なテロ組織やマフィアによる犯罪の未然の防止だ。

 国連での条約採択を機に、批准に向けて国内法を整備しようと、政府は03年に改正案を国会に出した。しかし市民団体などが、一般の人や団体にまで適用されかねないと強く反発した。2度廃案になり、今度が3度目だ。

 「『冗談のつもりだった』は通じない」。そんな題の冊子を京都弁護士会が作った。共謀罪が適用される恐れのある例を、漫画で示している。税理士事務所で、会社の社長が言う。「先生、法人税なんとかならんかな。経費の水増しとか」「まあまあ社長、私の方で出来ること考えますよ。ハハハ」。こんな談笑でも罪に問われる可能性があると指摘する。

 ・・・・・・社会の安全の確保が大事なことは、言うまでもない。しかし、人々の冗談や相談が摘発されかねない世の中では困る。

    朝日新聞 06/4/20()朝刊「天声人語」

 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

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38.<必修科目の未履修問題②>学習指導要領が学校混乱(強要、対する反乱)をもたらす元凶!

 全国の高校で必履修科目である「総合学習」の実施状況を調査してみれば愕然とするだろう(実施校はごくわずか!世界史・情報履修漏れなど目じゃない)。かつて、学習指導要領は「必修クラブ」(全員にクラブ活動をやらせるというもの)なるものを強要して学校混乱をもたらした前科あり!(編集人注)

    朝日新聞 06/11/2()夕刊「窓」

高校教師の悲鳴

 土曜を休日とし、週当たりの標準授業時間を2時間減らす。新たに総合学習の時間を設ける。そんな内容の新学習指導要領が公表されたのは99年春だった。

 翌年の秋、国立大学協会はセンター試験で5教科7科目の義務づけを提言した。それまで3教科、4教科だけの学部もあったから、かなりの負担増である。

 このころから、高校の進路指導教諭を対象にした『大学ランキング』(朝日新聞杜刊)のアンケートには、悲鳴にも似た回答が目立つようになった。

「授業をカットしておきながら、入試科科目を増やす。矛盾(むじゅん)する方針に、現揚は大混乱を起こしている」

 「土曜も授業ができる私立の中高一貫校が全盛になるだろう。公立校つぶしを狙っているのか。先が真っ暗だ」「私立に通えない生徒は、ますます不利になる。貧富の格差が広がる改訂(かいてい)だ」

 私立校からは、学習指導要領に挑戦(ちょうせん)するかのような意見も寄せられた。

 「学力破壊につながる暴挙である。学習指導要領にとらわれることなく、必要なことがらは教えるべきだ」

 「進学校ではすでに、総合学習と情報の時間を、いかに読み替えて受験指導に当てるか、という発想に傾いている」

 高校の「総合学習」新設の賛否を問うた結果、賛成はわずか7%だった。

 必修漏れは高校の反乱であり、起きるべくして起きた。回答を読み直して、そんな思いを禁じ得ない。〈清水建宇〉

 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

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39.図書館は情報探偵局!<図書館②>

司書は難問に答える「情報探偵」

 「図書館のプロ」とは司書のこと。・・・・・・

 「よくライオンの口から水やお湯が出ているが、その由来は?」、「筥部みゆきさんの本に登場した『うそつくらっば』という児童書を読みたい」、「第二次世界大戦時に神奈川県内にあった外国人収容所は?」

 図書館利用者が持ち込むさまざまな質問に対して、図書館レファレンス・サービス係がさまざまな資料を駆使しつつ答えていく。・・・・・・

 なぜ風呂や泉や噴水の噴出し口はライオンの頭の形になっているのか? この質間に対して、図書館のプロは「世界大百科事典」から始めて「世界シンボル辞典」、「図解古代エジプトシンボル事典」と、シンボルの歴史系をたどる一方、建築、意匠系列で「インテリア・家具辞典」から「古代ギリシャの都市構成」という専門書に行き当たり、さらに「水のなんでも小事典」から「英米故事伝説辞典増補版」へと進む。そして、古代エジプトにおいて、ナイル川の洪水が、太陽がしし座にある時に始まるということが、ライオンの噴出し口の起源となっている、ということが明らかになってくる。・・・・・・

 利用者の出す難題奇題を、次々に解いていく図書館のプロたち。・・・・・・情報をたどり、謎を解明する・・・・・・。そう、司書って「公立貸本屋店員」だと思っていたけど、本当は「情報探偵」だったんだ。

 彼らが活用する探偵道具は三つ。一つ目はもちろん、本を集積した図書館。二つ目は、いまや世界中の情報が集積されつつあるインターネット。それから、最後の一番大事なものは、それを使いこなすための頭の中の知識である。三つのどれもが、ちゃんとラベルを貼られて、収まるべき位置に収まりダイナミックにかかわりあってはじめて、謎解きの力が発揮される。

 水を噴出すライオンの口についての情報は、図書館やインターネットのあちこちに埋もれているだろう。が、動物図鑑でなく、まずシンポル辞典と意匠や建築の辞典を見てみようとする発想がなくては、正解には辿(たど)りつけない。さらに水に関する辞典があることも知らなけれぱ、そちらから攻めていくこともできない。

 ここで必要な知識は、図書館の本やインターネットをどうやって検索するかというハウツーではない。シンポルとは何か、ということについての教養や、ライオンの噴出し口の問題の特徴を正しく捉えるための論理的な能力である。図書館のプロが必要とするのは、本格的な「知力」やそれに支えられた「推理」なのね。やっぱり探偵だ。・・・・・・

 毎日新聞 06・12・10(日)朝刊『図書館のプロが教える<調べるコツ>―誰でも使えるレファレンス・サービス事例集』(浅野高史他著/柏書房)書評<小西聖子(たかこ) 評>

   小西聖子さんは精神科医・武蔵野大教授

 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

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《号外1》教育のクーデタ勃発!不戦60年の終焉を告げる晩鐘が鳴り響いている!

061215() 教育基本法が改変され(改変教育基本法成立)、同日、防衛省の誕生も決定(防衛庁の省昇格関連法が成立、07年1月9日の防衛省発足が決定)した。

 教育基本法改変は教育のクーデター!

 防衛省誕生で、不戦60年の終焉を告げる晩鐘が鳴り響く!

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《号外2》教育基本法改変で学校はどうなる?

いじめ問題は深刻化していく!

 日本政府はいじめ問題に取り組もうという気持ちは爪の垢ほどもない!

君が代・日の丸強制は憲法違反・教育基本法違反とした君が代・日の丸訴訟判決は否定されて君が代・日の丸強制をテコとする教育統制はとめどもなく強化されていく!

 日の丸・君が代訴訟勝利!都立学校教員、天晴れ!

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40.「自然は芸術を模倣する」―どういうこと?

                 山梨俊夫

 自然は芸術を模倣する、と言ったのはオスカー・ワイルド・・・・・・。

 例えばコンスタブルやセザンヌが少年時代から知悉(ちしつ)している故郷の風景を鋭く、だが愛着のこもった眼差(まなざ)しで描いた絵を見たあとでは、描かれた実際の場所は絵の通りに見えてくる。画家の眼(め)がその風景の骨格まで的確に把握し、風景の表面の奥へと見る人の視線を一挙に誘うからだろう。

 ワイルドの言葉から思われるのは、画家の視線がもつ、そうした強い透過力である。画家の眼はわれわれを目覚めさせ、普段慣らされた視線でしか物を見ていないことに気づかせる。絵を描くということは、画家自身も取り付かれがちな、この慣らされた視線を剥(は)ぎ取ることでもある。

 絵は、物の表面をなぞるだけの眼を洗って、物の奥に眼差(まなざ)しを導く作用をする。そして物の奥は絵のなかにある。展示室に絵を掛けるとき、画家の眼差しに貫かれたこの絵を見た多くの人が、またこの絵に視線を食い入らせ、その人は自然に向ける視線を変えていくのだろうと思う。・・・・・・

   (神奈川県立近代美術館館長)

 朝日新聞 06/12/19(火)夕刊「こころの風景」

 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

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41.人類は滅亡する―このままでは20数年後に!

持続的撤退

      東京工業大学助手 澤田哲生さん

 英国の環境科学者ジェームズ・ラブロック博士の講演を聴きました。・・・・・・地球全体を一つの生命体とみなす「ガイア理論」の提唱者の博士が、かつて超感度の毒物検出装置を発明。それがレイチェル・カールソン女史(190764)に、殺虫剤など化学物質の恐怖を描く環境問題の古典「沈黙の春」を書くきっかけを与えたといわれます。

 博士の主張の要点は、大気中の二酸化炭素濃度が500㎜を超えれば人類は滅亡する。しかし、地球生命圏ガイアはそれとは無関係に存続する――です。

 京都議定書の精神にもかかわらず、このままではCO2濃度が500㎜を超えるのは、2030年ごろといいます。人類減亡を防ぐためには、まずここ10年で人類がこの事実を共有し、それに備えるべく思考と生活の転換をしなければならないのです。それが「持続的撤退(sustainable retreat)」です。

 私たちは、地球上に安住し、「持続的発展」に期待していますが、その本質をまだちゃんとは理解していないのです。課題は、発展つまり前進と撤退の境目がどこにあるかです。大学も含めたあまたの研究機関は、持続的発展を目指しています。ところが、その考え方の根本がすでに間違っているという警鐘を博士は鳴らしています。撤退を発展と受け入れられるかがまず問われます。そしてどこへ撤退するのか――です。

 今後10年、その基礎固めと次世代への橋渡しが、私たちの責務になるのではないでしょうか。

  毎日新聞 06/11/()夕刊「夢を拓く」

 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

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42.成果主義導入の罰―ソニーの場合

成果主義がソニーを破壊した

       天外伺朗[てんげしろう]

(作家・ソニー元上席常務)

 ソニーは二〇〇六年で創業六十年を迎えた。かつては宝石のような輝きを発していた会社だったが、いまや煤(すす)にまみれてしまった。

 パソコン用リチウム電池の発火事故は世界中で約九百六十万個のリコールを引き起こし、五百十億円の交換費用が見込まれている。・・・・・・

 世間の大多数がソニーの異変に気づいたのは、二〇〇三年春のいわゆる「ソニーショック」の時ではないだろうか。このときソニーは四半期だけで約千百億円もの赤字を出したことを発表し、それをうけてソニーの株価は二日運続でストップ安をつけた。

 ・・・・・・ソニーショックの二年ほど前から社内の雰囲気が非常に悪くなっており、心身に変調をきたす社員が激増していた。・・・・・・

 ソニーが輝いていた時代と現在との違いを考えたとき、まず言えるのは「燃える集団」がなくなってしまったということだ。

 ・・・・・心理学の「フロー理論」・・・・・。

 これはアメリカの心理学者チクセントミハイ氏が中心となって唱えている理論で、「フロー」とは無我夢中で何かに取り組んでいるときの精神状態のことを指す。日本語では「流れ」という意味になる。スポーツの世界ではよく、「あのプレーが試合の流れを変えた」とか、「流れに見放された」というが、流れに乗ると運まで味方につけたように、何をしても良い結果につながる。

 この理論に基づいて言えば、技術者が集団でフローに入った状態が「燃える集団」だということになる。この「フロー状態」に入れる条件にはいくつかあるが、最も重要なのは「内発的動機に基づいて行動している」ということである。この「内発的動機」とは、たとえば「自分の力でロポットを作りたい」といった内側から自然にこみ上げてくる衝動である。その反対が「外発的動機」で、これはおカネが欲しい、出世したい、名誉が欲しいという外部からの報酬を求める心のことだ。・・・・・・

 いまのソニー社員は、大切な内発的動機を失ってしまったように見える。それはなぜなのか。私は成果主義が導入されたからだと思っている。

 「業務の成果と金銭的報酬を直接リンクさせれば、社員はより多くの報酬を求めて仕事に没頭するだろう」というのが成果主義だ。しかし目の前にニンジンをぶら下げられたからといって、人は仕事をするものではない。

 チクセントミハイ氏らの研究によると、外発的動機が強くなれば内発的な動機が抑圧されることが分かっている。すなわち「一生懸命に働けば給料を上げてやるよ」と言われ続けると、仕事を楽しもうという内面の意識が抑圧される。それにより仕事そのものに楽しさを感じることができなくなってしまう。

 一九九五年ごろからソニーでは徐々に成果主義が導入され、ついにはコンサルタント会社が作った精密な評価法を使って、社員一人一人のパフォーマンスを給料に反映させるシステムをとった。・・・・

 しかし成果主義が導入されるにつれ、社員は次第にやる気を失っていった。これでは「燃える集団」など生まれるはずもない。

 業務の成果をはかるためには、まず色いろな要素を数値化しなければならない。だが、仕事の内容は簡単に数値化できるものではない。成果を計測するためにエネルギーや時間が消費され、肝心の仕事がおざなりになるという本末転倒な傾向が出てきた。

 また目標に対する達成度を計測するとなると、ほぼ全員が達成できそうな低い目標を掲げ、ソニースピリットの核心ともいえる「挑戦すること」を止めてしまった

 これはソニーに限ったことではないが、成果主義が導入されると、目先の利益を追求する雰囲気が社内に蔓延してしまう。そうなると短期的な収益に貢献しない業務、たとえば晶質保持のための検査やエイジングといった業務はどうしても軽んじられてしまう

 エイジングとは電池の品質を維持するための工程の一つだ。電池は製造プロセスは同じでも、化学反応が進みすぎた不良晶が出来てしまうことがある。そのため製造してすぐは出荷せずに一定期間は寝かせて、反応が進んで劣化した製品を検査で取り除く。これをエイジングという。

 リチウム電池事故の直接的な原因がエイジングの軽視にあるかどうか定かではないが、どの企業であれ、成果主義を採用するとこうした地道な作業がおろそかになる傾向があることは指摘しておきたい。

 成果主義は個々人の査定にとどまらなかった。ソニーでは事業部ごとに経済価値を査定して、その評価で事業部全体の報酬を決めることにした。それにより起きたのは事業部間の足の引っ張り合いだ。全体の利益の中から、少しでも多く自分たちの部署へ報酬を引っ張ってこなければならない。となると他の事業部に手柄をたてさせるわけにはいかない。事業部間の溝は拡大し、お互いの連携がなくなってしまった。・・・・・・

 ソニーが活力を失ったのは成果主義のためだ。皮肉なことに成果主義の本場アメリカで、ソニーをお手本に、成果主義を否定する「フロー理論」が語られている。私は大きな衝撃を受けた。

 そもそも成果主義とは人間のパフォーマンスを数値化して、客観的で公正な評価をくだそうというものだ。しかし「客観的で公正」な評価など可能だろうか。私は無理だと思う。・・・・・・

 所詮、人間を項目別に数値化することなどできないし、それを無理にやろうとすれば必ず間違える。

 ・・・・・・ソニーでは社内のエンジニアを対象に学会のようなものを開いている。社内から論文を募集して、それを評価委員が「独創性」や、「他の部門に対する貢献度」、「事業化の可能性」といった項目に沿って点数をつけ、優秀な論文を表彰していく。

 いまから七、八年前、その“学会”で興味深いことがあった。採点を終えた評価委員たちが、「評価項目にしたがって点数をつけていけば、この論文が一位になりますが、私たちは別の論文のほうがいいように思います」と言い出した。確かに委員があえて推した論文は、点数一位になったものより独創的ではるかに優れていた。・・・・・・

 そして成果主義の弊害の最たるものは、社内の雰囲気が悪化することである。上司は部下の人間を見ようとしないで、なにごともマニュアルにしたがった「評価の目」で見るようになる。

 ・・・・・・マネジメントする側に求められるのは、・・・・・・温情や信頼感ではないだろうか。

 日本の企業はかつてはそのことを理解していた。上司は部下が少しばかり暴走しても大目に見ていたし、たとえ失敗しても尻ぬぐいをしてくれた。一方、部下は飲み屋で上司の悪口をいいながら、歯をくいしばって支えてきた。

 しかし管理が強化されて、一見、合理的な査定が導入されると、そうした非合理的な行動をとる人間はいなくなる。自分が損をするだけだから、みんな責任逃れに終始する。これではチームワークなど望むべくもない

 いまソニーに限らず、多くの企業がコンサルタント会社に莫大な費用を払って評価システムを導入している。しかしそうした企業は軒並み業績を落としているように見える。人間は経済的合理性だけで仕事をするわけではない。

 残念ながらソニーもアメリカ流の合理主義的な経営理論を早々と取り入れた企業の一つである。しかし創業者である井深さんの経営は、決して合理的とはいえなかった。その象徴的な例が一九六八年十月に発売されたトリニトロン・テレビである。

 このころソニーはテレビの販売競争で後塵を拝し、倒産の危機に瀕していた。それでも井深さんはトリニトロン方式のテレビを独自に開発することにこだわった。画質がよく、画面のゆがみも少なかったトリニトロン・テレビが発売されると大人気を博し、それから三十年もの長きにわたってソニーの収益の柱でありつづけた。

 しかし「人のやらないことをやる」と独自技術を追い求める姿勢は、いまの収益一辺倒のMBA的な視点からすると失格だろう。・・・・・・

 しかしトリニトロン・テレビがもたらしたものを長期的視野で見れば、収益のように数値化できるものばかりではない。技術が社内に蓄積して技術者が育った。そして「ソニーは独自の技術を追求する会社だ」と、ブランド・イメージも大いに高まった。

 そして何よりも「最先端の会社の一員である」という誇りを社員に与えた。トリニトロン・テレビが長い間、ソニーの収益源でありつづけたのは、エンジニアたちが自らの誇りをかけて改良に情熱を燃やしたからである。・・・・・・

 井深時代とのいちばん大きな違いは何か。それは先に述べた「誇り」だろう。井深さんも社員も自分たちが先頭を走っている、歴史を作っている、という自信があった。

 その頃は他社が何を作っているかなど気にしたことはなかった。ある大手家電メーカーが「マネした電器」と椰楡されたことがあったが、いまやソニーが「マネした電器」になってしまった。・・・・・・

 まだソニーに活カがあった時代、社内ではこんな格言が飛び交っていた。「本当に面白いアイディアを思いついたら、上司に内緒で物を作れ」

 言葉で伝えるより実物を見せたほうが早いからだ。しかし上司が冷たい「評価の目」でみていたら、それに逆らおうとする人間はいなくなるだろう。自分が信頼されているという意識がないと、新奇なものや高い目標に挑む姿勢は生まれてこない

 いつの時代であれ、どこの国であれ、企業は働く人間の内面から湧き出る動機を重視するべきだ。それは、まさにソニーが設立目的に謳ったような「自由闊達ニシテ愉快ナル」会社に他ならない。

 ソニーはかつて「二十一世紀型企業」ともてはやされていたが、皮肉なことに二十一世紀に入ると「二十世紀型企業」に退化してしまった。・・・・・・

    文藝春秋 2007/1 新年特別号

 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

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43.中南米左傾化の実情とその背景とは?

左傾化とまらぬ中南米

 ラテンアメリカで左傾化現象が止まらない。背景にあるのは絶望的な貧富の格差だ。人々は右派勢力の口先だけの公約にそっぽを向き、貧困脱出の希望を左派勢力に託し始めた。そのため、左派政権にとって貧困解決が政治的地歩を固める試金石であるとともに、追いつめられた右派勢カにとっても貧困対策への取り組みが早急の課題となっている。

 90年代にこぞって、民営化を進めるなどの新自由主義経済を取り入れたラテンアメリカ諸国は、インフレを克服し経済を安定させた。しかし、その恩恵は一部にとどまり、むしろ貧困層は格差の拡大を実感するようになった。それが21世紀に入り左傾化現象が顕著になった背景にある。

 相次いで誕生した左派系政権は、いずれも貧困克服を最優先課題にするが、その姿勢は「穏健派」「急進派」に大別される。穏健派の代表格は、新自由主義経済を維持しつつ貧困対策に力を入れるブラジルのルラ政権。一方、急進派はベネズエラのチャベス、ポリビアのモラレスの両政権で、資源の国家管理を強化しキューバと連携するなど社会主義的な政策を目指している。先日、政権奪取を決めたニカラグアのオルテガ氏がどんな政策を実行するのか注目されるところだ。

 穏健派については、国内急進派からは反発があるが、現実的な経済政策で国内外から信頼を得ていると言っていい。一方、急激な変革に挑むベネズエラとボリビアでは、反対派との対立が先鋭化しているが貧困層の支持は依然として高い。

 また、左派政権誕生には至らなかった国でも、左傾化現象は起きている。メキシコ大統領選では中道左派口ペス氏が与党・中道右派カルデロン氏に借敗ペルーでは急進左派ウマラ氏が決選投票に進出した。親米右派のウリベ大統領が圧勝で再選したコロンビアでさえ、左派候補が歴史的な得票率で2位につけた

 この流れの背景に貧困問題があることには、右派も気づいており、12月1日にメキシコ大統領に就任するカルデロン氏は、約20%の極貧人口を2030年までにゼロにするとの計画を発表している。

 今後をみても、26日のエクアドル大統領選決選投票には左派のコレア氏が進出。12月3日のベネズエラ大統領選ではチャベス氏再選が確実だ。右派勢力の貧困対策が成功しない限り、ラテンアメリカの左傾化は当分、続きそうだ。

 メキシコ市支局 庭田 学

    毎日新聞 06/11./25()朝刊

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44.図書館を「現代の駆け込み寺」に!<図書館③>

いのち響く図書館

 自殺したくなったら図書館に行こう。

 滋貿県東近江市の市立能登川図書館長、才津原哲弘さん(60)は、こんな発信を続けている。住民1人当たりの年間貸出冊数12冊、全国平均の3倍という優良図書館。才津原さんは構想段階からかかわってきた。

 年間3万人以上が自ら命を絶つ時代だ。図書館に行って悩みが消えるものだろうか。才津原さん自身、九州から移り住んで来て得た大切な人を自殺で失った。能登川のことを一から教えてくれた友人だった。無力感。だからこそ今がある。

 「自殺を止めるのは難しい。でも、もっと手前で生や死を考えたり、何かに出会える場でありたいと思います」

 行き場がないお年寄りも、不登校の子どもも、姑(しゆうとめ)と折り合いが悪いお嫁さんも、ここを居場所、逃げ場所、隠れ場所にしてほしいという。

 図書館を訪ねた。天井が高い。木の香りがする。さまざまな椅子がある。窓際のソファに座って水車を眺めてもいい。畳敷きの小間もある。本を読みたくない人にも、本と出会いたい人にも優しい「休息の場」だ。

 開館から9年、いろんな出会いがあった。病気で通えなくなった女性利用者がいると聞き、毎月本を届けた。末期がんの妻と夫の「二人展」を、読書スペースを3日間だけつぷして開いたこともある。

 公立図書館は今、行政改革による正規職員の削減が進む。「図書館が『無料の貸し本屋』になったらダメです」。図書館は地域文化の拠点、命の糧となる場であれ、と信じる才津原さんには、それがはがゆくてならない。

 毎日新聞 06/11/22()「発信箱」 元村有希子(科学環境部)

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45.いじめが起こる理由とは?<いじめ問題③>

いじめに対抗!    立松 和平―作家

 いじめというのは、一種の差別である。・・・・・・

 差別の構造とは、自分よりもっと差別されている人をつくることで、相対的に自分の社会的存在を高めようとする行為が差別である。・・・・・・

 子供を死にまで追い込むいじめは、結局のところ大人の社会のそのままの反映であると私は思う。大人の息詰まる競争社会は、自分以下とみなすことのできる人間を心理的にでも生み出そうとするのである。競争社会とはとどのつまり優劣をつけることであり、勝者と敗者に人を分別することなのだ。私たちの社会は、どうしてこんなふうに極端になってしまったのだろう。消費をあおる社会は、お金をたくさん儲(もう)けた人が偉いのだと、とどのつまりはそのことに行き着くのだ。子供たちは大人の風潮をそのまま写しているにすぎないのだと、私は思うのである。

 激しい競争社会では、全員が勝者になることはできない。子供の社会も、受験に勝つ者と敗れる者とに色分けされる。二種類に分別されるという恐怖は、自分より劣っているものを無理につくり出し、どうやら心理的バランスを保つことができるのだ。

 生きるのに、切ない時代である。いじめは大人社会をそのまま子供社会に持ち込んだものだとするなら、大人社会にも弱者いじめはたくさんある。根が深いから、学校など教育関係者だけで解決できる問題ではない。・・・・・・

  たてまつ・わへい 1947年生まれ。早大卒。「自転車」(早稲田文学賞新人賞)、「遠雷」(野間文芸新人賞)、「毒―風聞・田中正造」(毎日出版文化賞)など。

    毎日新聞 06/11/25(土)「論点」

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46.教育基本法改変を断行した政府の狙いは何か?

国家主義の傾向危惧

ノンフィクション作家・評論家 立花 隆さん

 ・・・・・・今の教育が抱えている諸問題はすべて教育基本法とは別の次元の問題だ。教育基本法を改めなければ解決しない問題でもなければ、教育基本法を改めれば解決する問題でもない。

 教育基本法に書かれていることは、「教育の目的」(第1条)、「教育の方針」(第2条)をはじめ、すべて極めて当たり前のことだ。急いで改正しなければならない理由はどこにもない。特に教育目的に書かれていることは、人類社会が長きにわたって普遍的価値として認めてきたことだ。そこにあるのは「人格の完成」「平和国家」「真理と正義」「個人の価値」「勤労と責任の重視」「自主的精神」「心身の健康」など、誰も文句のつけようがない目的だ。

 このような普遍的価値にかかわる問題を、なぜバタバタとろくな審議もなしに急いで決めようとするのか。不可解としか言いようがない。

 政府改正案を見ても、なぜそれほど拙速にことを運ぼうとするのか、理由が見当たらない。

 考えられる理由はただひとつ、前文の書き換えだろう。

 教育基本法の前文は、「基本法と憲法の一体性」を明示している。まず新しい民主的で文化的な平和憲法ができたことを宣言し、「この理想の実現は、根本において教育の力にまつ」として、新憲法に盛り込まれた新しい社会を実現していくことがこれからの教育の目的だとしている。

 憲法改正を真っ正面の政治目標に掲げる安倍内閣としては、憲法と一体をなしてそれを支えている教育基本法の存在が邪魔で仕方がないのだろう。憲法改正を実現するために、「将を射んとすればまず馬を射よ」の教えどおり、まず憲法の馬(教育基本法)を射ようとしているのだろう。

 教育基本法はなぜできたのか。制定時の文部大臣で後の最高裁長官の田中耕太郎氏は「教育基本法の理論」でこう述べている。先の戦争において、日本が「極端な国家主義と民族主義」に走り、ファシズム、ナチズムと手を組む全体主義国家になってしまったのは、教育が国家の手段と化していたからだ。

 教育がそのような役割を果たしたのは、教育を国家の完全な奉仕者たらしめる「教育勅語」が日本の教育を支配したからだ。

 教育基本法は、教育を時の政府の国家目的の奴隷から解放した。国家以前から存在し、国家の上位概念たる人類共通の普遍価値への奉仕者に変えた。

 それは何かといえば、ヒューマニズムである。個人の尊厳であり、基本的人権であり、自由である。現行教育基本法の中心概念である「人格主義」である。

 教育は国家に奉仕すべきでなく、国家が教育に奉仕すべきなのだ。国家主義者安倍首相は、再び教育を国家への奉仕者に変えようとしている

(聞き手・中井大助)

 たちぱな・たかし 

1940年生まれ。05年から東京大学大学院で特任教授も務める。社会・時事問題から最先端科学まで手広く手がけ、「田中角栄研究」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」など多数の著書がある。

 朝日新聞

06/11/6(月)夕刊「わたしの教育再生①」

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47.いじめ自殺防止策

は、学校から逃げること。学校に行かなくてはならないという固定観念は捨てよう(学校に行く権利はあっても学校行かなければならない義務はないのだから―義務教育の意味は、子どもが学校に行きたいといえば保護者は学校にいかせる義務があるということであって、子どもは学校に行く義務があるということではない)。

 

◆いじめ自殺 我慢せず学校から逃げよう

雨宮 処凛(あまみや かりん) 作家

 北海道や福岡県など各地でいじめ自殺が相次ぎ、学校や教育委員会の対応が批判を浴びている。助けを求める声に耳をふさぎ、事件などなかったふりをする―。彼らの対応は、私がいじめに悩み、自殺を考えていたあのころと、何も変わっていない。

 いい先生が一人もいないわけではないが、学校や教育委員会に何かを期待しても、ほとんどは裏切られて終わる。傷つき、最後に死を選ぶよりは、一刻も早く学校から逃げ出そう。

 私へのいじめが始まったのは、中学2年の夏のことだった。所属していたバレー部で、3年生の引退をきっかけに、プレーが下手で足を引っ張っていると、みんなから無視されるようになったのだ。

 失敗するとボールをぶつけられ、「パシリ」としてジュースの買い出しにも行かされた。何よりつらかったのは、昨日までの親友がいじめる側に回ったことだ。いじめに加わらなければ、自分がいじめられる。学校という「弱肉強食」の世界では、友情なんてガラスのようにもろい。

 顧問の先生は気づいていたが見て見ぬふりだった。以前に、やはりいじめに遭っていた同級生が、この先生に相談したことがある。彼はウンザリした顔でいじめた側の生徒を呼び出し、「当事者同士で話し合え」と命じてどこかに行ってしまった。彼女はその場で袋だたきにあった。先生なんて信用できなかった。

 だからといって、家族にも打ち明けられなかった。親や弟たちに、自分がいじめられるような人間だなんて思われたくなかった。気づくと、夜中に部屋で「私はいじめられてるんじゃない」とつぶやきながら、何度も手の甲をコンパスの針で突き刺していた。

 ある日、橋の上から濁流に飛び込もうとして、我に返った。自転車に乗っていて、無意識に車道を走る車の前に飛び出したこともある。死は甘い誘惑だった。学校に行くことの方がずっと怖かった。

 自殺の衝動は、いじめが始まって数カ月後に部活をやめたことで治まった。あのまま我慢して続けていたら、どうなっていただろうか。

 だから、もう我慢するのはやめよう。いじめられていると親に言い出せないなら、仮病を使ってでも学校を休もう。それでも無理に学校に行かされそうになったら、部屋にカギをかけて籠城(ろうじよう)しよう。

 もちろん、親や家族が気づいてくれれば、もっといい。いじめられていると、世界中から自分の存在が否定された気分になる。家族に認められたことで、自殺を思いとどまったという人は多い。

 親は学校に怒鳴り込もうとするかもしれないが、それで必ず解決するというわけじゃない。それより、旅行にでも連れ出してくれて、違う風景の中で「何があっても愛しているよ」と言ってくれたら、どれほど救われるだろう。

 一連の事件で、教育再生会議や文部科学省、教育委員会は、再発防止策を検討している。議論に意昧がないとは言わないが、時間がかかるし、制度を改めれば解決するというわけでもない。

 いじめの解決法に正解はない。ただ、今になってみると、私をいじめた、くだらない人間のために死ななくて、本当に良かったと思う。

    ◇

 75年生まれ。元愛国パンクバンド「維新赤誠塾」ボーカル。著書に「バンギャル ア ゴーゴー」「すごい生き方」など。

   朝日新聞 06/11/11(土)朝刊「私の視点」

 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

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<番外①>右傾化という時流に乗って「活躍」する人物のいい加減さとは?

勝谷誠彦氏の場合

 <フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より>

 ・全共闘世代について、「クズ」(『たかじんのそこまで言って委員会』での発言)と言うように、非常に嫌悪感を持って認識している。「たかじんのそこまで言って委員会」で団塊の世代である司会のやしきたかじんの前で発言したときに「悪かったな俺も団塊の世代や」というと勝谷が凍り付いてしばらく無口になったこともある。

 ・故橋田信介を親しい人物であると主張しているが、フリージャーナリストの常岡浩介の2004年5月28日付けweb日記では「次に橋田さんとお逢いしたのは一年後の3月2日、同じバグダッドでだった。サフィールホテルにインターネットを使いに来たところに橋田さんが甥の小川功太郎さんを伴って現れたのだった。ちょうどこの日、ジャーナリストを気取った邦人テレビタレントがバグダッドに入る手前のファルージャで追い剥ぎに遭った。橋田さんはこの邦人のお粗末な事件の顛末を聞かせてくれた。この邦人と仕事上仕方なく付き合ってはいるものの、実は迷惑らしく、いやで仕方がないといった風情だった。」と指摘されている。

 ・2004年11月に勝谷の女性マネージャーが、同じ吉本興業所属の島田紳助に暴行を受けたとして書類送検された。この事件について・・・・・・テレビやラジオでは全くコメントしなかった。また、テレビが「島田紳助所属タレント」「島田紳助司会者」などの奇妙な呼称を使っていることに関しても一切言及していない(「稲垣吾郎メンバー」の際にはかなり揶揄していた)。このことについて小田嶋隆氏が『読売ウイークリー』のコラム上で「勝谷がコメントを逃げて、裏ではマネージャーに知恵をつけている」と批判したことに対し、「まことに下品で下劣な文章」と同誌編集長に直接電話して抗議した。

 ・2004年11月5日深夜放送の『朝まで生テレビ!』で田原総一朗から日中戦争の認識について問われ、「(日本の侵略戦争とは)思わない」が自衛戦争とも「違う」と返答した。結局、なんのための戦争だったのかとの問いに返答できなかったことについて、田原から「答えられないなら偉そうなことを言うな」と痛罵された。

 ・靖国神社問題について2006年7月31日放送の『ビートたけしのTVタックル』で代替追悼施設の存在意義に対して否定的見解を表明した。ただ、2005年5月放送の『朝まで生テレビ!』では「(多宗教の)追悼施設は作るべき」との見解を述べていた。

 ・2005年8月放送の『朝まで生テレビ!』で「(日本)国民は馬鹿だ」と発言した。ただし、自身に同調する意見については、日本人はまだまだ捨てたものではない等の友好的態度をとっている。

 ・記者クラブへの反発から自身のことをジャーナリストと呼ばれることを嫌い、TBSラジオ『ストリーム』で「ぼくは偉そうにジャーナリストという肩書きを使っている人間がちゃんちゃらおかしいと思っている、特に国際ジャーナリストってなのってる連中」というと、小西克哉が「どうして、ぼくは国際ジャーナリストと名乗っているけど…」というと、一瞬沈黙した後「小西さんのような人はいいんですけど、いい加減なやつが多いから…、僕は自分のことを絶対ジャーナリストなんて呼ばずにコラムニストと呼ぶんです」と答えた。それに対して小西は「ジャーナリストというのは記者という程度の意味しか無くてどっかに寄稿したことがあれば、ジャーナリストと名乗れるけど、コラムニストというのは有名紙に署名記事を書ける一流記者のことを言うんだけど」と指摘した。

 ・テレビ出演の際は「支那」との呼び方を用いない。テレビではとてもそう呼べないと日記上で打ち明けた事があるが、理由は自粛しないと自分がテレビでの発言機会を失うと関西ローカルの番組で述べたことがある。メディアに応じて呼称を使い分けているということになり、メディアの圧力に屈して自らの信条を歪めていると指摘される原因にもなっている。

 ・2004年4月のイラク日本人人質事件について自作自演説を展開していた。その後『朝まで生テレビ!』で他の出演者が「あんなデマを真に受ける人間があっちこっちにいた」と口々に語った際にはうつむいて沈黙していた。

 ・2006年9月13日の日記(引用者注:ブログのこと)において秋篠宮の親王が悠仁と命名されたことについて「まことに良いお名前だと思う」と「悠」の字を用いたことを賛美していたが、2005年2月15日には同じ一文字を「戦後自由平等糞教育を受けた阿呆がいかにもつけそうな一文字」と言及していた。

 ・吉田拓郎やかぐや姫のコンサート「つま恋」の観客について「バリケードの中で互いに傷舐めあったあげくにこの国を潰した衆愚の塊よ」と酷評した。これは、バリケードと言う単語から明らかなように団塊の世代に対する批判であったが、報道によれば当日の観客の平均年齢は49歳で、団塊ではなく勝谷の世代であった。

 ・2006年に発覚した日本の高等学校での全国的な履修不足について、「履修不足でなく単位偽装である」と批判しており、当初は問題に対する当該生徒やその父母の認識、履修不足のまま卒業・進学した過去の生徒の学歴の正当性について批判を繰り返していた。しかし、本人の母校である灘高等学校の履修漏れが発覚した途端、政府や文科省の体質批判を行いだした。

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48.堀江・村上両氏が逮捕された根本的理由とは?

資本主義自体の息の根が止まる可能性が出てくるのを防止するためであった。

 

岩井克人さんと考える 資本主義と会社

 いわい・かつひと 47年生まれ。東京大経済学部卒。マサチューセッツエ科大大学院修了。エール大助教授、ペンシルベニア大客員教授などを経て、89年から現職。著書に「不均衡動学の理論」「ヴェニスの商人の資本論」「貨幣論」「資本主義を語る」「二十一世紀の資本主義論」「会社はこれからどうなるのか」「会社はだれのものか」などがある。

 小泉内閣が推し進めてきた政策は「市場原理主義」と呼ばれ、「格差社会を容認する」として批判を招いた。そんな中で起きたライブドア事件や村上ファンド事件・・・・・・。岩井克人・東京大教授(経済理論)は・・・・・・「中核部分で経営者に倫理的であることを求める」資本主義の“逆説”の重要性を指摘する。

 ライブドアの堀江貴文氏は「お金で買えないモノはない」と言った。・・・・・・

 資本主義の中核をなす会社とは、たんなる企業ではなく、法律の上で人として扱われる法人企業のことだ。本来人間ではない法人が、現実の経済の中で人間として振る舞うためには、それを人間のように動かす生身の人間が必要となる。それが会社の経営者だ。・・・・・・

 経営者と会社との関係は、あえて名前をつけるとすれば「信任関係」である。信任とは、医者と患者の関係のように、他の人から信頼によって仕事を任されることを意味する。信任関係が成立するには、そこに「倫理性」が要求される。会社の経営者は「会社をきちんと活動させる」という目的のために、自らの利益の追求を抑えて行動する義務を負うことになるからだ。会社法では、この義務のことを「忠実義務」と呼ぶ。この義務に違反すると、経営者は背任罪で逮捕されてしまうのだ。

 アダム・スミスが1776年に出版した「国富論」が描いた資本主義とは、自己利益の追求が、結果的に公共の利益になる社会であった。これは、現代の主流派経済学の基本的な思想でもある。

 だがその資本主義の中核に、経営者の倫理的行動が要請されているという大いなる「逆説」が見いだされたのである。スミスが排除したはずの倫理性が必然的に求められている。この逆説を理解しなければ、ある日資本主義自体の息の根が止まる可能性が出てくる。

 例えば上場会社のことを、英語で「パブリック・コーポレーション」という。直訳すると、公共的会社だ。それは、株式市場が本来的に公共性を持っていることを意味している。上場するということは、すべての市民から資金を調達することが認められたということだ。だからこそ、上場会社は自分の活動に関する情報を、公平に、しかもうそ偽りなく市民に伝える義務を負う。証券取引法がインサイダー取引や粉飾決済を禁じているのは、それが株式市場のこの公共性を損なうからだ。その意味で、株主の権利を強く主張してきた村上ファンドの村上世彰氏が、株式市場の公共性を裏切るインサイダー取引をしていたことは大変に残念なことだ。・・・・・・

  (聞き手・伊藤政彦、松本一弥)

 朝日新聞 06/7/25(火)朝刊「漂流する風景の中で」

 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

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【コーヒーブレイク2】 ガッキーのテーブルテニス

 ガッキーは、ファッションモデル・女優・タレント・グラビアアイドル・声優で活躍している新垣結衣(あらがきゆい)さんの愛称です。

 このGIF動画は作者不明で、複数のブログに掲載されているものです。(動画を見るには、画像をクリックして下さい)

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49.ネット右翼が生まれる理由は?

落ちこぼれてしまう、当事者になれない、という不安・恐怖の中で、<自己を肯定できる要素=自分も必要とされていると思える要素>を日本人であるということにしか見出せない若者が増えているから。

 

右傾化する「自分探し」 中村岳志的 アジア対談

   中村岳志(なかじま・たけし)北海道大助教授(アジア研究)。1975年生まれ。著書に『中村屋のボース』など。

   雨宮処凛(あまみや・かりん)作家。1975年、北海道生まれ。小学生のころからいじめを受け、自殺未遂や家出を繰り返す。高校卒業後、東京で右翼団体に加入。反米という点で北朝鮮やイラクにもシンパシーを抱いた。最新作は『パンギャル ア ゴーゴー』(講談社)。ほかに『自殺のコスト』『暴力恋愛』『EXIT』など。

 中島岳志さんが今、もっとも危ぐするのは、一部の俳優やインターネット上に見られる、若者の「自分探し」が過激な右傾化につながる現象だ。・・・・・今回の対談相手、作家の雨宮処凛さんは、元祖「自分探し右翼」的人物。・・・・・・【構成・鈴木英生、写真・馬場理沙】

 中島 映画「新しい神様」(原注:右翼パンクロックバンド時代の雨宮さんを追ったドキュメンタリー。土屋豊監督、99年作品)で雨宮さんを知り・・・・・・ました。雨宮さんはいじめと自殺未遂から右翼運動に救いを求めた。・・・・・雨宮さんは、「団結できるもの」を求めて右翼になった。そのころをどう振り返りますか。

 雨宮 狂っていたとは思います。右でも左でもいいから、手っ取り早く破壊衝動を満たしてくれるものがほしかった。ただ、右傾化しているとされる今の若い人と違うのは、当時、愛国という言葉はとてもマイナーで、反権力・反権威だったんです。愛国パンクが反抗の音楽として成り立っていた。

 中島 僕たちやその上の世代にとっては、ナショナリズムや愛国心を唱えることが不謹慎でマイナーだったからこそ、それで得られるものがあったのだと思う。でも今は、「東京裁判史観」批判や靖国参拝がメジャーになった。右翼的なヒップホツプの曲が、靖国神社の作ったCDに入っていたり。ネット上での右派的な言葉も、もはやある意味メジャーで、なのに本人たちはそれを抵抗だと信じている。その流れの中で、雨宮さんは逆方向に向かっています。

 雨宮 今ば左翼ですから(笑い)。アンチじゃないと私は意味を感じられないんです。ただ、フリーターから右翼になった経緯は、今の人と近いかもしれない。自分がどこにも所属していない不安感があったけど、右翼になった途端「自分も必要とされている」と思えましたやはり、ナショナリズムは雇用不安と関係があると思う。今、フリーターのルポを書いていますが、彼らは自分を肯定できる要素が日本人であることしかなかったりする・・・・・・当事者であるとは、言い換えると自分が主体的に、社会に関(かか)わっていると思えることです。でも、本当の当事者になれることなんて、多分ほどんどない。だから、そうなりたい気持ちを靖国神社やら何やらに動員される。でも、たとえばフリーターでネット右翼の子から、下手にその気持ちを取り上げたら自殺しかねない。今の人は、それくらい追い込まれていると思う。

 中島 ここでいう当事者であることとは、「大きな敵がいること」と言い換えてもいいでしょう立ち向かう相手が大きいほど当事者性は強くなる。・・・・・・自分探しとは、哲学的に言えぱ「存在論的問い」のことで、これには終わりがありません。.自分探しは大切だと思う。だけど、それが今の日本では右派の暴カにまで結びつきかねない。しかも、それを食い止める答えを誰も持っていない。

 雨宮 究極の答えは、話を「生きさせろ」の一言に持ってゆくことだと思うんです。今、「プレカリアート運動」というものに関わっています。プレカリアートは、プレカリオス(不安定な)とプロレタリアート(労働者)を合わせたイタリア生まれの造語です。経済の新自由主義化により、世界中でこうした層が増えていると主張している。二ートやフリーターもプレカリアートだと。具体的には雇用問題なんかを訴えている。でも理念的には、無前提な生存権を要求しているんです。つまり今、人は何か条件付きでしか自分の生を生きていると思わせてもらえない。学校で良い成績を取り続けたり、正社員になって出世競争に励んだり。そこからこぼれ落ちれぱ、さっき言ったみたいなネット右翼になって中韓をたたいたり、さらに自傷行為やネット心中をしたり。特に後者は「お前が苦しいのはお前のせいだ」と自己責任論を刷り込まれ、怒りが全部自分に向かっている。そのどん詰まり感がひどい。その状況をどうにかしろと。それと、プレカリアートという言葉は耳慣れないせいか、この運動は左翼だと思われにくいんです。だからネット右翼でも、すんなり「自分はプレカリアートだ」と、今までとは違うアイデンティティーを持てる。これも大きな物語ですが、そこにはまだ、希望があると思う。

 中島 最後に、右翼から離れ、北朝鮮とも距離を置く今の雨宮さんが立っている場所はどこなんでしよう。

 雨宮 一生、自分を探し続けてもいい開き直りの場所というか……。結局、何かにはまったり、世界の中心に自分がいると錯覚できることが、生きている実感を一番与えてくれるんです。そういうことをやり続けるしかない。

 中島 自問し続けることが大事なんですね。そのためにも、敵を作って事足りるだけではない議論の場が必要だと。お互いが「なんかへんだなあ、こいつ」と思っていても、存在を尊重し合えるようになる。それしかないのだと思います。

 <人名の太字は原文通り。それ以外の太字(赤字)は引用者が強調するためにそうしたものです。>

    毎日新聞 06/10/23()夕刊

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《号外》防衛省誕生、不戦60年の終焉を告げる晩鐘が鳴り響いている!

07年1月9日(火)、防衛省が発足した。

34.防衛省誕生で、不戦60年の終焉を告げる晩鐘が鳴り響く!

<番外②>小泉チルドレンの愚かさ加減とは?

杉村太蔵氏の場合

07.01.08(テレビ朝日)スーパーJチャンネル

  このニュース映像の元の映像はこれです→元の映像

  このニュースはきっこの日記(07年01月13日)でも紹介されています。

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50.沖縄戦争とはいかなる戦争だったのか?

 それは、沖縄の人々が米軍から攻撃され、日本軍から死を迫られた戦争であった。

 死を迫られるとは、兵士として従軍看護隊として死が待つ戦場に送られることであったし、集団自決を強要されることであったし、泣く子どもを壕の外へ放り出さされることであったし、直接に銃口を向けられることであった。

 このような沖縄戦〔争〕を真正面から描き、その実相に迫ったのが昨年(06年)8月22日(沖縄は8月26日)に放映された終戦記念特別ドラマ「沖縄従軍看護隊 最後のナイチンゲール」(日本テレビ制作)である。

 そのドラマの公式サイトはこちら→最後のナイチンゲール

 沖縄の人々が日本軍に直接に銃口を向けられる場面は公式サイトの「予告編B」にあります。

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【コーヒーブレイク3】 .終戦記念特別ドラマ「最後のナイチンゲール」(長谷川京子主演)

長谷川京子主演 『沖縄従軍少女看護隊 最後のナイチンゲール』

昨年8月22日(火)午後11時過ぎ(沖縄では8月26日<土>午後2時過ぎ)、終戦記念特別ドラマ『沖縄従軍少女看護隊 最後のナイチンゲール』(日本テレビ制作)を親子で見ていた全国数百万の家庭が約3分間一斉に凍りついた。親子一緒ではとても正視出来ない場面が流れたからである。その後もドラマが終わるまでの約20分間、気まずい空気が流れ続け、ドラマどころではない家庭も多かった。

 そのため、「沖縄戦争の実相を描くこのドラマは、子どもたちに是非見せたいドラマである。しかし、この場面が入ったことにより、子どもたちに見せることのできないドラマとなってしまった。」(ブログ『沖縄従軍少女看護隊 最後のナイチンゲール』)

 親子一緒ではとても正視出来ない場面は、冒頭記載のブログ『沖縄従軍少女看護隊 最後のナイチンゲール』の<トピック>のコーナーで見ることが出来ます。

 なお、ドラマはCMタイムを入れて2時間24分(午後9時~11時24分/沖縄は午後0時~2時24分)。視聴率は14.9%(関東地区)でした。

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51.米原万里さんを偲ぶ

 昨年(06年)5月25日に亡くなった米原万里さんの「幻の処女作」(現代書館/86年7月刊)といわれてきた『マイナス50℃の世界』が、加筆修正されるとともに、写真家・山本皓一さんの現地カラー写真を新たに加えて、最近(07.01)、清流出版より再刊された。あらためて、米原さんが偲ばれる。『マイナス50℃の世界』表紙写真

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米原さんを悼む

 エリツィン・ソ連共産党中央委員に会う直前、不安になった。「通貨ルーブルの交換性をどう回復するか」というテーマは先方に伝わってない。ぷっつけインタビュー。上手な通訳が付いてくれるのだろうか。

 難解な用語、詳細な数字を眉(まゆ)一つ動かさずに通訳していく女性。それが米原万里さんだった。滑らかなリズム。ソ遵経済立て直しという絶望的なテーマにもかかわらず、エリツィン氏は明らかに乗っていた。

 直後にソ連は崩壊し、エリツィン氏はロシア大統領に。米原さんは作家として羽ばたいた。チェコのソビエト学校育ちという複雑微妙な環境を背景にした作品は、ユーモアの中に、異民族間の緊張や大国に寄らざるを得ない小国の姿が織り込まれ、陰影か深い。

 後年、「異文化交流は『文明の衝突』を防ぎ得るか」というシンポジウムを企画した際、迷うことなく米原さんをパネリストとして招いた。

 彼女が亡くなって、シンポジウムの詳細をまとめた「力か対話か」(川本暗嗣編著、中央公論新社)を読み返した。

 (日本は)つねに.世界最強の国に寄り添ってそこを通してのみ世界を知ろうとする」「たった一つの言語を通して、あるいは、たった一つの国にあわせていくというやり方では、この複雑で多様な世界を知ることなんかできない」

 一辺倒はやめようよ、どの国とも対等で直接の関係をつくろうよ。米原さんの主張はまさにこれからの日本に間われる最も重要な課題だ。

 世界の広さと複雑さ、文化の多様性の語り部。道半ば、56歳にしての死を借しむ。 (論説室・渡辺 悟)

  毎日新聞 06/06/04()朝刊「発信箱」

 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

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52.なぜ子どもまで狙うのか?

子供狙うチョコ地雷

 イスラエルとの国境に接するワザニ村。鉄条網をめぐらせた頑丈なフェンスの向こうには、青々とした果樹園と整然と建ち並ぶ民家が見える。手前のレバノン側に広がる赤茶けた岩だらけの荒れ地では、農民がやせこけた羊を追っていた。

 羊飼いのアマハドさん(35)7歳の時にイスラエル軍の侵攻で村を追われ、6年前にようやく22年ぶりに戻った。妻と5人の子供がいる。ブロックを積み上げて家を建てた。村の人口は300人に、羊や牛も数千頭に増えた。

 開戦から5日後の717日、ヘリコプターの砲弾に追い立てられるように再び村を去った。停戦後、帰ってきた故郷は死臭に覆われていた。家畜が銃弾を受け、えさも与えられずに死んだ。アマハドさんも130頭の羊のうち80頭を失い、残りも生活のため売り払った。

 周辺には地雷が埋設され、家畜を満足に放牧できない。草を求めて迷い込んだ羊が次々と吹き飛ばされる。家の近くの道で、銀紙に包まれたチョコレートのようなものを見つけたことがある。子供を狙った地雷だ。そのそばでわが子たちが遊んでいた。

 イスラエル軍は今も村の近くに姿を現す。・・・

   文:矢野純一 写真:山本晋

  毎日新聞 06/11/07()朝刊「失われしもの 戦禍のレバノンから4」

 (文中の太字は文引用者が強調のためにそうしたものです。)

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<番外>安部内閣支持率ネット世論調査(07/02)

<番外>安部内閣支持率ネット世論調査(ブログ「カナダde日本語」)

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53.~憲法~映画 「日本の青空」・「映画 日本国憲法」

映画 「日本の青空」 (07 日/07 公開)

映画「映画 日本国憲法」 (04 日/公開0507)  予告編 ☆wmv

54.~原爆~映画 『夕凪の街 桜の国』

映画『夕凪の街 桜の国』 (07 日本/0707 公開)

予告編 ☆.flv    TVスポット ☆.flv    特報 ☆.flv  映画完成披露試写会 舞台挨拶 (070719) J☆.wmv

55.「電磁波で健康影響あり」とした画期的報告が厚生労働省から発表された(2007年1月19日)。

 この報告は「平成17年度厚生労働科学研究費補助金健康科学総合研究事業」という研究事業の一環で推進された「微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明、診断、治療対策に関する研究」の報告書のP.30~P.52で行われた。

報告書の表題・目次./P.1~P.13  P.14~P.33  P.34~P.53

○報告書の全文は厚生労働省 科学研究成果データベースで読むことができます。 (そこの「検索語」の空欄に「微量化学物質によるシックハウス症候群の病態解明、診断、治療対策に関する研究」をコピーして貼り付け、「検索実行」のボタンをクリックすると、「結果表示」の欄に「報告書の表題」が出てきますので、それをクリックするとファイルリストに12のファイルに分けて収められた報告書があります。)

56.ピラミッドの数はエジプトよりスーダンの方がすーだん上!<金曜トリビア③>

<ご注意:音声が大きいです>ピラミッドの数はエジプトよりスーダンの方がすーだん上!

お知らせ:<私のトリビア>は<金曜トリビア>と改称いたしました。

【コーヒーブレイク4】 ショートフィルム(1991)に見るゴルバチョフの栄光と挫折(♪「ソ連国歌」)>(付録:東ドイツ国歌)

ショートフィルム(1991)に見るゴルバチョフの栄光と挫折 <♪「ソ連国歌」>☆.mpg.MPG

  付録:♪東ドイツ国歌(1988ソウルオリンピック)

57. 「在日」隠す芸能界に異変

「在日」隠す芸能界に異変

【コーヒーブレイク5】 .<団塊世代へのエール⑤>団塊世代の若き日に

流れていた曲は、新谷のり子 「フランシーヌの場合」(1969)

放映されていたドラマは、若者たち(1966)

上映されていた映画は、映画 「いちご白書」(1970)オープニング&エンディング<♪「サークル=ゲーム」> (♪「サークル=ゲーム」の歌詞)

活躍していた元祖グラビアアイドルは、アグネス=ラム                     

      

活躍していたスポーツ選手は、“キンシャサの奇跡”(1974/10/30)  で世界を感動させたモハメド=アリ<「人類史上もっとも多くの人々に愛され、尊敬されているスポーツ選手」(Wikipedia)>                                       

                                   

男子中高生の間で吉永小百合さんと人気を二分していたのは、本間千代子さん(本間千代子さんのレコードコレクション  映画「君たちがいて僕がいた」(東映/64)<挿入歌:♪愛しあうには早すぎて(64)>△flv ♪純愛の白い砂 /愛しあうには早すぎて<with her portraits>△flv  ♪若草の丘<with her portraits>△flv  ♪三百六十五夜<with her portraits>△flv)。

58.国際情勢に材を採った面白いCM

『読み解く 国際情勢』 酒井啓子(東京外国語大学大学院教授) <朝日新聞07/07/28()朝刊・別紙>

 最近、お気に入りのCMがある<編集者注:観月ありさ 世界の通貨篇 (approx. 07)のこと>。国連総会みたいな場で、中国代表と米代表が自国の通貨を主張して、「元!」「ドル!」とやり合っている。英代表が「ポンド!」と叫ぶと、インドが「ルビー!」と叫び、ヨーロッパ各国は肩を組んで「ユーロ!」と踊る。

 料理の出前をどの国・地域の通貨で払うかという設定なのだが、米中関係、旧植民地と宗主国の関係などをうまく表していて、なかなか面白い。

 だが、私が一番注目したのは、出前の料理が並べられたその位置。よく見ると、アラブの白い服とスカーフを被った、サウジアラビアらしい代表の前に料理が置かれていて、サウジ代表(たぶん)が米国や中国、英国の激論を横目に、黙々と隣の席に料理を回している。で、隣の代表はなんとなく、パキスタンかインドネシア代表かしらという姿。反対側には「アルゼンチン」の名札も見える。

 ううむ、これって、オイルマネーを背景にサウジが途上国に援助をばらまいている、的な構造か?産油国の第三世界への連帯か、はたまた、イスラム・ネッワークへの国際的支援?

 ・・・・・

59.~イスラム世界とアメリカ~映画「イラク 狼の谷」

映画 「イラク 狼の谷」 (06 トルコ/日本公開0706) 予告篇 ☆rmmpg  公式サイト

60.~太平洋戦争~映画「陸に上がった軍艦」

映画 「陸に上がった軍艦」 (07 日/公開 07) 予告編 ☆wmv  story ☆f.mh  introduction ☆.mht  兵弱戦記 ☆.mht  stuf・cast ☆.mht

61.~原発~映画 「みえない雲」 「東京原発」

映画 「みえない雲」 (06 独/日本公開0612) 予告編  公式サイト

映画 「東京原発」 (03 日/公開0403) 予告編  公式サイト

62.~資本主義~映画「ザ・コーポレーション」 (04 加/日本公開approx.05)

映画「ザ・コーポレーション」 (04 加/日本公開approx.05) 予告編 ☆wmv  公式サイト  

63.~アイルランドの闘い~映画「麦の穂をゆらす風」

映画「麦の穂をゆらす風」 (06 アイルランド英独伊西/日本公開0611)

予告編 ☆.mov  クリップ1  クリップ2  作品解説

64.~三池争議~ 

映画「ひだるか」 (05 日/0507 公開) 公式サイト  作品解説

映画 「三池 終わらない炭鉱(やま)の歴史」 (05 日/公開) 予告編 ☆wmv  公式サイト  

ニュース映像

65.~ベートーヴェン~映画「敬愛なるベートーヴェン」

映画 「敬愛なるベートーヴェン」 (06 英洪/日本公開0612) 予告編 ☆.flv  特報 ☆flv  物語 ☆.swf<画面が表示されない時は、右クリックし「再生」を左クリックしてください/以下同じです>  解説 ☆.swf  歓喜に寄せて ☆.swf  プロダクションノート ☆.swf    

66.~レンブラント~映画 「レンブラントの夜警」

映画 「レンブラントの夜警」 (07 加仏独波蘭英/日本公開0801) 予告編 ☆.wmv  story ☆.mht   introduction ☆.mht

67.~愛国~映画「Marines Go Home 辺野古・梅香里・矢臼別」

映画 「Marines Go Home 辺野古・梅香里・矢臼別」 (06 日/公開0606)

68.~パレスチナ~映画「ミュンヘン」

映画「ミュンヘン」」 (05 米/日本公開0602) 予告編 <2m40s> ☆.wmv  予告編 <60s> ☆.wmv  about_the_movie<画面下の「MEDIA」と「ABOUT THE MOVIE」を順に左クリックすればメニューが表示されます> 

【コーヒーブレイク6】 注目の映画!注目の女優!   

麻生久美子主演 映画 「ハーフェズ ペルシャの詩(うた)」 (07 イラン・日/日本公開0801) 予告編 ☆.mov  story ☆.mht  introduction ☆.mht  directors_note ☆.mht  cast ☆t.mht  keywords_1 ☆.mht  keywords_2 ☆.mht  監督<アボルファズル・ジャリリ>profile ☆.mht

竹内結子主演 映画 「サイドカーに犬」 (07 日/公開 0706) 予告編 ☆.flv  特報 ☆.flv  80s ☆.swf  cast ☆..swf  gallery ☆..swf   interview ☆..swf   intro ☆..swf   story ☆..swf

沢尻エリカ主演 映画「パッチギ!」 (04 日/公開0501) 予告編 ☆rmyt△  物語 ☆.mht  作品紹介 ☆.mht  キーワード ☆.mht  制作ノート ☆.mht  

69.~チョムスキーの発言~ 

◎映画 「チョムスキーとメディア」 (92 加/日本公開0702) 予告篇 ☆.flv  公式サイト   

◎ 映画 「チョムスキー 9.11 Power and Terror」 (02 日/公開0209-10)  予告編 △.flv  公式サイト  

ビデオ 「ノーム・チョムスキー イラク後の世界を語る」<チョムスキーへのインタビュー(030722)> ☆hmt

70.~ロシアの影~映画「暗殺 リトビネンコ事件」

映画 「暗殺 リトビネンコ事件」」 (07 露/日本公開0712) 予告編 ☆.avi.MPG  公式サイト

71.~資本主義~映画 「ファーストフード・ネイション」

映画 「ファーストフード・ネイション」 (06 米英/日本公開0802) 予告編 ☆.flv  公式サイト

72.~憲法~映画「We 命尽きるまで」

映画 「We 命尽きるまで」 (07 日/0711 公開)

予告編↓ 予告編<大画画>  公式サイト

73.~ストリートチルドレン~映画 「マリアのへそ」

映画 「マリアのへそ」 (07 日/0802 公開) 予告編 ☆.mov  公式サイト

73.~国鉄民営化~映画 「今夜、列車は走る」   

映画 「今夜、列車は走る」 (04 アルゼンチン/日本公開 0804) 予告編 ☆flv  公式サイト

74.~靖国神社~映画 「靖国 YASUKUNI」

映画 「靖国 YASUKUNI」 (07 日・中/0804 公開) 予告編  公式サイト  

75.~ベトナム戦争~映画 「花はどこへいった」

映画 「花はどこへいった」 (08初夏 公開) 公式ホームページ  公開予告記事 ☆mht

76.~クルド~映画 「バックドロップ クルディスタン」

映画 「バックドロップ クルディスタン」 (approx.07 日/0710 公開) 紹介記事

77.~日中十五年戦争~映画 「蟻の兵隊」 )

映画 「蟻の兵隊」 (05 日/0607 公開) 予告編 ☆.wmv  公式サイト

78.~治安維持法とは~映画「母(かあ)べい」に見る

映画 「母(かあ)べい」 (08 日/0801 公開) 予告編 ☆.asf  特報 ☆.asf  公式サイト

79.~パレスチナ~映画「ボーフォート -レバノンからの撤退- 」

映画 「ボーフォート -レバノンからの撤退- 」 (07 イスラエル/日本公開 0802) ☆mht   同左の続き ☆hmt

80.~東欧革命~映画 「4ケ月、3週と2日」

映画 「4ケ月、3週と2日」 (07 ルーマニア/日本公開 0803) 予告編 ☆wmv  公式サイト

81.~ビルマ~映画 「ビルマ、パゴダの影で」   

映画 「ビルマ、パゴダの影で」 (04 スイス/0803 日本公開 ) 予告編 ☆ flv  公式サイト

82.~日本という国家(くに)~映画 「バッシング」

映画 「バッシング」 (05 日/0606 公開) 予告編 ☆.wmv  公式サイト

83.~パレスチナ~映画 「パレスチナ1948・NAKBA」  

映画 「パレスチナ1948・NAKBA」 (08 日本/0803 公開) 予告編 ☆.flv  公式サイト

84 日本人の自画像・・・映画「闇の子供たち」

映画「闇の子供たち」(日/080802 日本公開) 公式サイト

85 イラク戦争・・・映画「告発のとき」

映画「告発のとき」(07米/日本公開0806) 公式サイト

86 アパルトヘイト・・・映画「マンデラの名もなき看守」

映画「マンデラの名もなき看守」(07仏独白伊南ア/日本公開0805) 公式サイト

87.小田実によるベ平連の格言

小田によるベ平連の格言 ;
    1.何でもいいから好きことやれ!
    2.他人のすることにとやかく文句言う
    3.行動提案するなら、まず自分が先にやれ!
    (出典 ; 小田「私は死がこわい」p.255)

アグネス=ラム  【コーヒーブレイク5】<団塊世代へのエール⑤>団塊世代の若き日に からのリンク

初来日(75)☆wmv

Movie Story 01(approx.76)☆wmv

Movie Story 02(76-77)△flv

Movie Story 03(76-77)△flv

Movie Story 04(DK)<♪ZARD/瞳そらさないで>△flv

Movie Story 05(DK)<♪ZARD/ 風が通り抜ける街へ>☆flv

Movie Story 06(DK)<♪ZARD/ GoodNight SweetHeart>☆flv

♪「Moonlight Beach」(70's)△flv

♪雨あがりのダウン・タウン(76)△flv

♪さよならは言わない(78)

CF いたずらはほどほどに篇(70's)thanks to nnabush666△flv

CF ほっ!篇(75)thanks to nnabush666△flv

TV フラダンス(approx.77)☆flv

TV 豆腐屋さん(approx.80)△flv

portraits with her song 01(♪I'm Agnes/♪さよならは言わない)△flv

portraits with her song 02(♪あなたの時計)△flv

portraits with her song 03(♪さよならは言わない)△flv

portraits with her song 04(♪ムーンライトビーチ)△flv

portraits with her song 05(♪ムーンライトベイ)△flv

portraits with her song 06(♪やさしい旋風)△flv

portraits with her song 07(♪私達の伝説)△flv

portraits with her song 08(♪小さな恋人)△flv

portraits with her song 09(♪Im Agnes)△flv

【きんようドラマ館】

ドラマ「広島 昭和20年8月6日」(TBS/050829)<2h15m>P▽flv

【きんよう映画館】   

◎アニメ「図書館戦争」<フジTV/全12話(0804~0806)> P▽flv  第1話  第2話  第3話  第4話  第5話  第6話  第7話  第8話  第9話  第10話  第11話  第12話

映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」 (07/東宝)<2h26m> (画面に著作権についての注意が入ります) P▽flv

映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」 (07/東宝)<2h26m> (映像と音声がずれています) P▽flv

88.筑紫哲也が遺したもの

筑紫哲也さん追悼〜ガンとの闘い500日…筑紫さんが遺したもの」(TBS/081111)P▽flv

89.アフリカの少年兵

「世界一受けたい授業 知られざる戦争の実態恐怖の少年兵」(NTV/ 081115)<49m>P▽flv

90.三国志

「その時歴史が動いた 三国志クライマックス!」(NHK/081008)<43m>P▽flv

91.難民

「ティーンズTV 地球データマップ 難民 故郷を追われて」(NHK教育/080914)<20m>P▽flv

92.死刑執行音声

「死刑執行音声」(文化放送/080506)<54m5s> P▽flv (このビデオは音声のみです。)

93.敗戦による日本の半植民地化~『年次改革要望書』~

『年次改革要望書』<サキヨミ>(フジTV/081026)

94.言葉の持つ力

・・・・・。開高健曰く。まだ言葉がない頃、人類はケモノの恐怖に怯えるだけだったが、それに「トラ」と名づけることで恐怖感は軽減され、具体的な対策を取ることができた。これが言葉の持つ力であると。・・・・・。<『都市と自然』095月号>

95.国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)  

ドラマ『風に舞いあがるビニールシート』<NHK>(09年5月~6月/全5話)

第1話  第2話  第3話  第4話  第5話(最終話)

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